入管法改正案、再提出見送りへ ウィシュマさん背景に選挙前批判懸念

自民岸田政権

吉川真布
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 政府・与党は、昨年の通常国会で成立しなかった出入国管理法入管法)の改正案について、17日召集の通常国会に再提出しない方向で最終調整に入った。新年度当初予算の成立後に審議すれば、スリランカ国籍の女性が収容中の入管施設で亡くなった問題に改めて焦点があたり、参院選前に世論の批判を招く可能性があるとみての判断だ。

 昨年の通常国会に提出された入管法改正案は、強制退去処分となった外国人の収容長期化の解消が目的だった。難民認定手続き中の送還停止規定の適用回数を制限する一方、入管当局が選んだ「監理人」の監督のもと施設外で生活できるようにする措置を設けていた。

 しかし、収容中の入管施設でウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が死亡した問題をめぐって、出入国在留管理庁の対応に批判が集まり、野党が真相解明を求めた。政府・与党は成立を見送り、衆院解散で廃案になっていた。

 法務省は法案の再提出に向けて準備を進めていた。死亡問題の真相解明となるよう衆参両院の法務委員会の与野党議員らに、施設でのウィシュマさんの死亡直前の様子を映した映像を公開。与党議員には現行法の課題などを説明してきた。しかし、夏に参院選を控えていることから、自民党の国会対策幹部は首相官邸に「もめそうな法案は出してこないよう」要求。国対幹部は入管法について「出すつもりはない」としている。(吉川真布)