たき火が呼び起こすあの日の思い出 25年前に交わした約束

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武田啓亮
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 星空の広がる東京都檜原村のキャンプ場。昨年末、坪田俊介さん(53)は妻美恵子さん(53)と赤々と燃えるたき火を見つめていた。周囲から聞こえるのは川のせせらぎと、薪に残ったわずかな水分がシューと蒸発する音だけだ。

 「そろそろいいんじゃない」。美恵子さんが持つ鍋から、甘い香りが漂う。白い息を吐き、ホットワインを飲む。どうしてかな、昔話がしたくなった。

 「肝試しの帰りじゃなかったか?」「今日みたいに寒い日で、確か元日だったよ」

 40年近く前、岡山県倉敷市。2人は中学の同級生だった。

 仲良しグループで計画を立てた。大みそかに神社で季節外れの肝試しをして、そのまま初詣に行こう。

 「ドキドキしたのを覚えてる」「俺は別の理由でドキドキしてたよ」

 俊介さんは、この日にかけていた。初詣から帰宅した美恵子さんの目に入るよう、余裕を持って年賀状を書いた。はがきには交際を申し込む言葉と、「迷惑だったら忘れてください」と一文を添えた。

 後日、美恵子さんから返事が…

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