イノシシのベーコンとふわふわ卵 駆除した鳥獣、買い取って調理

有料記事

川上眞、石垣明真
[PR]

 捕獲したイノシシなどの有害獣を加工処理して、食肉の「ジビエ」として販売する持続的な仕組みづくりが、各地で始まっている。

 「かみ応えのあるイノシシのベーコンとふわふわ卵」「和風だしで煮込んだイノシシと館山産落花生などが入った煮込み」――。

 千葉県館山市が昨年末、オープンした「館山ジビエセンター」。開所式典では、参加者がジビエを使った料理の試食の箸をすすめるたび、「うんうん」とうなずく笑顔が広がった。

 「捕まえたイノシシは全部利用することを目指してがんばりたい」。式の最後には、センターの指定管理者、アルコ代表社員の沖浩志(38)が真剣な表情であいさつした。長年の懸念を自分なりに解決する試みが始まろうとしていた。

館山市に移住した38歳が起業

 釣り好きの父の影響で、沖は幼いころから生き物好きに育った。専門学校では野生生物調査を勉強。環境調査会社に就職したが、専門学校時代の友人が島根県でクマ対策をしている姿を知り、自分も獣害対策に取り組みたいと決意した。

 交際中だった妻の実家がある館山市に移住し、有害鳥獣対策の会社を設立した。その頃公募していた市の地域おこし協力隊員に応募し、2018年から21年3月末まで、鳥獣対策の指導を専門に活動してきた。活動を始めて深刻な現実を改めて実感した。

 獣害対策は、防護策の設置など地域が一体で取り組まないと効果がない。だが、人口減少耕作放棄地が増え、隠れ家を得たイノシシは急増している一方で、狩猟免許を持つ捕獲者は高齢化し減少していた。

 高齢者がわなを日々見回る負担は大きい。捕獲できても運び出す人手が足りず、解体処理も労力。そのため、捕獲された大半が地中に埋設されていた。

 センターは、捕獲者にとっての利便性を大切にする。捕獲したイノシシはセンターが買い取り、解体処理してジビエに加工し、飲食店などに販売。「館山産ジビエ」として特産化を目指す。捕獲者が施設利用料を払って、自分で処理して持ち帰ることも可能だ。

 センターで、わなにかかった獲物を仕留める際の危険な「止め刺し」の仕方も指導する。「ジビエが売れて、むだが無くなれば。狩猟をする若い担い手も育てたい」と沖は話す。

ALSOKグループも乗り出す

 異業種の企業が参画したケー…

この記事は有料記事です。残り848文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません。