外国語で110番対応OK 埼玉県警、55言語態勢

仙道洸 仁村秀一
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 事件や事故といった緊急事態が起きた場合に使う110番通報。埼玉県警は、外国語を話すことができる職員や通訳人を配置し、最大55言語に対応できる態勢をとっている。日本語が使えなくても、県警は安心して通報を、と呼びかけている。

 通信指令課によると、昨年1~11月に県警にあった110番通報は、前年同期より4839件多い56万6836件。最も多かったのは、交通事故に関する通報の約11万9千件で、不審者や駐車違反などの「各種情報提供」が約10万4千件と続いた。間違い電話やいたずら、相談といった緊急性のない内容も約9万2千件あった。また、外国籍を名乗る人からの通報もあり、この4031件(前年同期比44件減)のうち約4割が中国籍からの通報で最も多かった。

 外国語でも110番通報に応じてくれるのか――。東入間署は地域住民らから「知らない外国人住民も多いのではないか」との声を受け、今月4日にふじみ野市で体験会を行った。参加したのは、いずれも中国人留学生で文京学院大学に通う王新銘(オウシンミン)さん(21)と徐楚(ジョソ)さん(26)。歩行中の2人がひったくり被害に遭い、110番通報するという想定で行われた。

 「事件ですか。事故ですか」と日本語で問われると、王さんは「中国語」と応じ、電話の先は通訳人に代わった。その後、同署で中国語の通訳を務める野原小百合巡査部長が駆けつけ、2人に事情を聴いて体験会は終わった。

 終了後、2人は「母国語で対応してくれたので安心した」と感想を述べた一方、外国人の友人たちは110番通報が多言語に対応していることをほとんど知らないと言い、「周りに伝えていきたい」と話した。

 中国語など外国語にも方言があることから、野原巡査部長は「分からない言葉があるときは、ほかの言葉に置き換えるなどして対応している。これからもたくさん勉強して相手にわかりやすい中国語を話せるよう、心がけたい」と語った。

 県警によると、110番通報を受けた際にどの外国語が分からない場合は、専門部署につないで言語を判断。登録している民間通訳人らの協力も得て対応するという。(仙道洸、仁村秀一)

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