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着床前検査「先進医療が現実的」 日産婦が見解改定し実施を容認

会員記事

神宮司実玲
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 体外受精させた受精卵のすべての染色体を調べ、異常のないものを子宮に戻すことで不妊治療の成功につなげる「着床前検査」について、日本産科婦人科学会(日産婦)は9日、学会の見解を改定して実施を認めた。流産を2回以上経験しているなど三つのケースに対象を限定したうえで、4月から実施する。

 日産婦はこの日の臨時総会で、新たな見解を承認した。

 対象はほかに、体外受精で2回以上妊娠できなかった▽夫婦いずれかに染色体の形の異常がある――のいずれかに該当した場合、とした。

 日産婦には、流産を経験した人たちを中心に、対象を絞ることに反対する意見が多く寄せられたという。これに対し、日産婦は、検査のために細胞を一部を取り出す際に受精卵を傷つけることで妊娠率が下がる可能性もあることや、海外でも科学的データが不足していることなどから、誰にでも行うような検査ではない、と説明する。

 日産婦が国内で実施した臨床研究でも、流産を減らす効果を期待できる結果が示される一方、参加者の6割は検査をしても子宮に戻せる受精卵を得られなかった。このため、参加者全体でみたときに、「最終的に子どもを得られる可能性が高くなるかはわからない」としている。

 検査の質を担保するため、実施施設は日産婦が認定する。施設に対し、検査の前後に、遺伝カウンセリングを受けられるようにすることなどを求める。

 4月から体外受精などの不妊治療に公的医療保険が適用される見通しだが、着床前検査については、中央社会保険医療協議会中医協)は、学会で議論が続いているとして、保険適用の判断を見送っている。

 9日の記者会見で木村正理事長は、「保険適用に必要な薬事承認のハードルなどを考えると、まずは、(保険対象外だが、保険対象の治療と組み合わせられる)先進医療が現実的だろう」と、先進医療の申請をめざす方針を示した。

 日産婦はまた、重い遺伝病を防ぐために、受精卵の段階で遺伝子を調べ、異常のないものを子宮に戻す「着床前診断」についても見解を改定した。対象はこれまで、成人になるまでに人工呼吸器が必要となるなど「重篤な遺伝病」としてきたが、4月から成人後に発症する病気にも広げる。「現時点で有効な治療法がない」などの条件をつけた。

 着床前診断については201…

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