独自

入管に長期収容、外国人2人が国提訴へ 国連人権理事会WGが意見書

有料会員記事

村上友里
[PR]

 裁判などによる審査がないまま出入国在留管理庁の施設に収容されたのは国際人権規約に違反するなどとして、難民申請中の外国人の男性2人が計約3千万円の損害賠償を国に求める訴訟を東京地裁に近く起こす。2人の収容については、国連の作業部会が同規約に反すると指摘したのに対し、政府は「事実誤認」と反論している。違法性の判断は、日本の司法の場に持ち込まれる形になった。

 原告は、イラン国籍のサファリ・ディマン・ヘイダーさん(53)とトルコ国籍のデニズさん(42)。

 訴状によると、サファリさんは1991年、デニズさんは2007年に、ともに母国での迫害を逃れて来日した。難民申請は認められず強制退去処分となり、10年以上にわたって仮放免と再収容を繰り返された。収容期間は計約4~5年で、ストレスから自傷行為もしたという。他の収容者と同様に、収容期間を告げられないまま収容されて精神的苦痛を負ったとし「収容の合理性、必要性を満たさないことは明らかだ」と訴えている。

 2人から通報を受けた国連人権理事会の「恣意(しい)的拘禁作業部会」(WG)は20年、2人が仮放免後に再び収容されたことなどは「必要性がなく恣意的だ」と指摘。収容の期限の定めや収容判断に司法審査がないとして、日本政府に対し、法的拘束力はないものの、2人への賠償や出入国管理法の見直しを求める意見書を送った。2人の弁護団によると、WGが日本の入管収容を規約違反と結論付けたのは初めてという。

日本政府が反論「WGは入管制度を理解していない」

 これに対し出入国在留管理庁は21年、2人の収容は仮放免中の条件順守状況や行動など個別の事情を適切に評価したものだとの意見を公表。司法の審査や救済の機会が提供されていたとも主張し、「(WGの意見書は)日本の入管制度を正しく理解せず、明らかな事実誤認に基づくもので国内外に誤解を生じさせる」としてWGに異議を申し立てたと明らかにした。

 現在、仮放免中のデニズさんは取材に「生きるために日本に逃げてきたが、収容され死にたい気持ちになった。日本が国連のルールを守らないのはおかしい」と話した。サファリさんは「外国人も同じ人間として対応するよう入管に変わってほしい」と述べた。

改正案は見送り、研究者「国際社会と対話を」

 入管法改正案は昨年の通常国会に提出されたが、スリランカ国籍の女性が施設収容中に亡くなった問題で批判が集まり、廃案となった。政府は、今年の通常国会でも提出を見送る方針だ。

 改正案の主なポイントは、強…

この記事は有料会員記事です。残り348文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
  • commentatorHeader
    曽我部真裕
    (京都大学大学院法学研究科教授)
    2022年1月10日15時40分 投稿

    【解説】 記事にある通り、国連人権理事会の「恣意的拘禁作業部会」(WG)は、2020年9月25日に今回の二人の収容について、恣意的な身体の自由の剥奪であって国際人権法(具体的には、世界人権宣言2条、3条、8条、9条、14条、自由権規約2条、9条、2