プリントゴッコ実演販売中の出会い どん底の漫画家を救ったカップル

有料会員記事

若松真平
[PR]

 漫画家・こきあいりんさんにとって、忘れられない仕事がある。

 2006年12月に経験した「プリントゴッコ」の実演販売だ。

 内容は、理想科学工業の家庭用簡易印刷機・プリントゴッコで年賀状を制作し、本体や消耗品を売ること。

 8年前に「別冊花とゆめ」(白泉社)に作品が掲載され、漫画家としてデビューしていたが、次第に仕事が減ってどん詰まりの状態に。

 漫画家を職業として捉え直そうと、派遣会社に登録していくつも仕事を経験する中で見つけたのが、実演販売だった。

 12月の週末、東急ハンズ渋谷店の文具フロアで「ただいまプリントゴッコをご案内しておりまーす」と声を出した。

 通りかかった人たちの目にとまるよう、既存の図案集にはない色使いで、アート風イラストの年賀状も作った。

 「今までのプリントゴッコのイメージを変えるような提案をしよう」と、生意気にも思っていた。

 人だかりが出来る時もあれば、パタリと誰も来なくなる時間帯も。

 クリスマスのころになると、みんな楽しい所へ行ってしまうのか、静かな時間が続いた。

 「懐かしいな、プリントゴッコ。昔持ってたよ」

 そんな言葉をかけられて、こんなことを考えた。

 「もう、手間暇かけることは時代遅れなのかな。私の漫画だって時代遅れだったから……」

 へこんでいた気持ちをふくらませてくれたのは、その後で訪ねてきた若いカップルだった。

 実演販売の終了間近に来た2…

この記事は有料会員記事です。残り1314文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【無料会員限定】スタンダードコース(月額1,980円)が3カ月間月額100円!詳しくはこちら