草津温泉に入り「健康を取り戻す」…これ本当?科学的根拠解明へ研究
温泉地に長期滞在して病を癒やし、心身の健康を取り戻す「湯治」。草津温泉(群馬県草津町)は100年以上前、その医学的有効性が世界に紹介された。
明治政府の招きで来日し、東京大学医学部で日本近代医学の発展に尽くしたドイツ人医師のエルビン・フォン・ベルツ博士(1849~1913年)。草津温泉を幾度となく訪れ、こう記した。「草津には無比の温泉以外に、日本で最上の山と空気と理想的な飲料水がある」
かつては、各地の国立大学に温泉の医学的効果の解明に取り組む研究施設や温泉病院が置かれていた。草津温泉にも、群馬大学医学部付属病院の草津分院(2002年閉院)があった。
草津分院で院長を務めた経験のある久保田一雄医師(72)=吾妻脳神経外科循環器科院長=は「温泉を科学する」とエビデンス(科学的根拠)にこだわった。草津分院で温泉の医学的作用について基礎的、臨床的研究に取り組んだ。
成人型アトピー性皮膚炎で、搔痒(そうよう、かゆみ)症状のある患者らに草津の温泉水を用いた治療を試み、約12年間に約130人の患者に温泉療法を施した。その成果を研究論文にまとめ「難治性の成人型アトピー性皮膚炎を治癒させ得るとは、とても考えられないが、少なくとも一部の患者の皮膚症状と搔痒の改善には有効である」と結論づけた。
久保田医師は「温泉水の医学的作用を科学的に解明した唯一の研究です」と話す。ただし「温泉の効用は休養、保養および療養と考えたい」という立場だ。
日本温泉協会副会長の前田眞…
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