新年の風物詩でめでたい気分に 安城で三河万歳の企画展

柏樹利弘
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 愛知県安城市など三河地方に伝わる、家の繁栄や家族の健康を祈る祝福芸「三河万歳」。その歴史や文化を知れる企画展「THE三河MANZAI」が安城市歴史博物館で開かれている。同館が所蔵する資料のほとんどを展示した初めての企画という。16日まで。

 扇を手にした太夫(たゆう)や、鼓を持った才蔵(さいぞう)が、リズミカルな掛け合いやユニークな踊りを披露する伝統芸能で、国の重要無形民俗文化財にも指定されている。

 江戸時代には徳川家康のおひざもとの芸能として保護され、巡業の特権を認められた。新年に合わせて、万歳師たちが江戸をはじめ関東一帯をめぐり、各地で芸を披露した。戦後になると、後継者が育たなかったため衰退していった。

 企画展では、三河万歳の由来を示した古文書や、万歳師を描いた浮世絵など約120点が展示される。

 歌川広重葛飾北斎が描いた江戸の正月風景には、三河から来たとみられる万歳師の姿が数多く描かれている。三河万歳が正月の風物詩として親しまれてきたことがうかがえる。

 掛け軸や人形など、縁起物として万歳師をかたどったものもある。

 なかには、江戸時代に猛威をふるった天然痘をよけるのに効果があると考えられた「疱瘡(ほうそう)絵」に、万歳師が描かれたものも。

 同館学芸員の西島庸介さんによると、長引くコロナ禍を受けて展示を企画したという。「めでたい気持ちで、コロナの閉塞(へいそく)感もやわらげてほしい」

 展示を訪れた名古屋市緑区の松島静子さん(72)は、孫が県立安城農林高校の郷土芸能同好会で、三河万歳の継承に取り組んでいる。「こんなに長く続いてきた地域の文化だから、大切にしたい」と話した。

 入場無料。最終日の16日には、「安城の三河万歳保存会」が実演し、西島さんがみどころを解説する。別室でのテレビ中継のみ残席がある。予約や問い合わせは同館(0566・77・6655)。(柏樹利弘)