「失敗だらけの人生だから…」経験交え、学校で「性」を語る助産師

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編集委員・大久保真紀
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 性について学校現場で講演を始めて21年になる助産師の桜井裕子さん(57)は、看護師学校在学中に予期せぬ妊娠をしたことがある。当時は「失敗」と捉えた自身の経験を交えながら、子どもたちと向き合う。「来年の幸せ」を考えて――。

「失敗したから」終わりじゃない

 昨年12月、埼玉県の中学での講演で、3年生約160人を前に桜井さんはこう語りかけた。

 「私は無知ではなかった。性についての知識はあったが、自分のこととして考えることができなかったんだよね」

 性教育の外部講師として小中高、大学、特別支援学校などから引っ張りだこだ。保護者に話すこともある。体の仕組みや性に関するネット情報の見方、水着では隠す「プライベートパーツ」、性暴力、性的同意、性感染症、妊娠、避妊、性の多様性……。内容は「包括的性教育」と呼ばれるもので多岐にわたる。日々、情報をアップデートし、学校の要望なども踏まえ、年齢に合わせた形で伝える。

 かつては「『できちゃった婚』をした人に講師は頼めない」などという学校もあったが、学校現場では性教育の需要が高まっていると感じる。これまでは年80回前後だった講演が、昨年は100回を数えた。

 桜井さんの講演は、リアルな自らの体験だけでなく、子どもたちを飽きさせない工夫が随所にある。4択の質問を会場にいる生徒や先生に答えてもらいながら、正解したら「ピンポン」、不正解だと「ブー」と音が出るおもちゃを使って、場を盛り上げる。

 心がけているのは、正確な情報を伝えるのは当然とした上で、禁止・抑制する話や過去を振り返る話ではなく、未来志向型の話だ。子どもたちが自ら選択できる力を身につけてほしいとの願いを込める。

 「私は失敗だらけの人生だから、子どもたちには失敗したからって終わりじゃないと伝えたい」と桜井さんは言う。

桜井さんは学校現場で21年も性についての講演を続けてきました。さまざまな規制がある中で学校の教員らと協力しながら、子どもたちに必要なことを伝えてきました。自らの「予期せぬ妊娠」がどんなものだったのか、それによって何が起こったのかを後半で詳しく語ってくれています。

 米どころの新潟県魚沼市で育った。小学2年生のときに中耳炎になり、そのとき面倒をみてくれた病院の看護師の優しさが印象に残った。その姿に憧れ、看護師を夢見た。

「おめでとう」と言われて

 だが中学、高校とスキー部の…

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