企業の「お値段」、取り残される日本 米トップ3社>日本全上場企業

稲垣千駿、ニューヨーク=真海喬生
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 企業の「お値段」を示す時価総額の上位の顔ぶれが変わってきている。コロナ禍でのデジタル化の進展で米巨大IT企業が上昇し、アップルは一時、世界で初めて3兆ドル(約345兆円)を超えた。脱炭素の流れをつかんだ電気自動車(EV)のテスラも急成長する。

 先週末7日時点の世界ランキングで、日本のトップのトヨタ自動車は29位の0・32兆ドル(約37兆円)。1兆ドルを超える企業もある米国勢との差は大きい。時価総額は株価に発行済み株式数を掛けたもので、企業の価値を端的に表す。変遷からは世界経済の動きや、日本企業の苦戦が見える。

 世界のトップ10で目を引くのは米巨大IT企業だ。アップル、マイクロソフトグーグルの親会社のアルファベット、アマゾン、旧フェイスブックのメタ、半導体大手のエヌビディアの6社が入る。コロナ禍が本格化する前の2019年末時点と比べ、2倍前後になったところがめだつ。

 在宅勤務が広がり巣ごもり需要が増えるなか、インターネットのサービスを握るIT企業の業績は好調だ。AI(人工知能)の活用や自動運転の開発なども進める。オミクロン株の感染拡大で世界経済には先行き懸念もあるが、IT企業の存在感は高まる。

中長期の成長テーマに取り組む企業が

 EVで世界最大手のテスラは昨年10月に1兆ドルを突破し、この1年で2倍超になった。米新興EVメーカーのリビアンは、昨年11月の上場時に米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)と肩を並べた。

 米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイが8位。銀行など金融はトップ10に入らず、石油メジャーもかつての勢いはない。野村証券の小高貴久氏は「デジタルや環境対応といった中長期の成長テーマに取り組む企業が今後も伸びていく」という。

 米国以外の企業では、世界最大の石油会社であるサウジアラビア国営のサウジアラムコが3位。半導体の受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が10位だ。

 米中の対立や規制強化もあって中国企業はおおむね不振だ。ネット通販のアリババ集団は0・35兆ドルで、1年前から半分近くまで落ち込んだ。中国政府は昨年、アリババに罰金を科すなどIT大手への締め付けを強めている。

「復活するのは厳しい」

 日本企業ではトヨタの次はソニーグループ(0・15兆ドル)で92位。中国のIT大手テンセント(0・54兆ドル)が11位、韓国のサムスン電子(0・43兆ドル)が16位など、アジア勢で日本企業を上回るところもある。バブル経済だった1989年は、世界のトップ10に日本の金融機関やNTTが入っていた。

 いまではアップル、マイクロソフト、アルファベットの3社だけで、日本で上場する全企業の時価総額の合計(約750兆円)を上回る。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏は、日本勢はバブル崩壊で設備投資に後れをとり、成長力が弱まったと指摘する。「新しいビジネスモデルを受け入れる土壌も乏しい。政治や産業界、国民の意識が変わらないと、日本企業が復活するのは厳しいのではないか」と話す。(稲垣千駿、ニューヨーク=真海喬生)

世界の時価総額ランキング

(2022年1月7日時点。数字は概数)

1 アップル(米国)         2.8兆ドル

2 マイクロソフト(米国)      2.3兆ドル

3 サウジアラムコ(サウジアラビア) 1.8兆ドル

4 アルファベット(米国)      1.8兆ドル

5 アマゾン(米国)         1.6兆ドル

6 テスラ(米国)          1.0兆ドル

7 メタ(旧フェイスブック、米国)  0.9兆ドル

8 バークシャー・ハサウェイ(米国) 0.7兆ドル

9 エヌビディア(米国)       0.6兆ドル

10 TSMC(台湾)         0.5兆ドル

29 トヨタ自動車(日本)       0.3兆ドル