東京・岩波ホール、7月29日で閉館へ コロナによる経営悪化で

小原篤佐藤美鈴、編集委員・石飛徳樹
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 ミニシアターの先駆けで、半世紀以上の歴史を持つ「岩波ホール」(東京都千代田区)が7月29日に閉館する。同ホールが11日、公式サイトで発表した。「新型コロナの影響による急激な経営環境の変化を受け、劇場の運営が困難と判断いたしました」という。

 本の街・神保町に1968年に開館した。200席ほどの規模で当初は多目的ホールだったが、知られざる名画を上映する「エキプ・ド・シネマ(映画の仲間)」運動を74年に始め、全国一律のロードショーではなく単館で芸術色の強い作品をかける興行スタイルをつくった。その成功にならい、後に続く館が生まれ、80年代にはミニシアターブームが起きた。

 インドのサタジット・レイギリシャテオ・アンゲロプロス、ポーランドのアンジェイ・ワイダ、日本の小栗康平や羽田澄子らの監督作など、上映作品は65カ国・地域の271本に上る。

 全国のミニシアターなどでつくる「コミュニティシネマセンター」の岩崎ゆう子事務局長は、突然の閉館発表に「日本の映画文化を担ってきた伝説のような場所。岩波ホールというブランドは観客、映画作家、配給会社、地方のミニシアターからも信頼が厚い。衝撃は大きい」と話した。

 長年通う元外交官の高倍宣義さん(79)は「とても寂しい。女性監督作品の旗振り役でもあった。コロナ禍の中で岩波ホールの灯がともっていることが希望だったのに」と残念がった。小原篤佐藤美鈴、編集委員・石飛徳樹)