テレビゲーム、健康に役立つ可能性? 手と脳通じて意欲引き出す

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野中良祐
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 新型コロナウイルス感染症が広がってから、外出を控えたり、ジムや運動教室に通う機会がなくなったりした人も多い。続けてきた運動習慣が途絶えることで、心身が不調になってしまう恐れもある。自宅でできるテレビゲームは、人との接触を気にせず、健康に役立つ可能性がある。

 千葉大の研究チームが着目したのは、2021年9月末時点で約1220万本売れた、任天堂のフィットネスゲーム「リングフィット アドベンチャー」。指先でコントローラーを操作する通常のゲームと違い、リングを押したり引っ張ったりしながら運動メニューをこなすことで、冒険を進めるゲームだ。チームは「国民病」とも呼ばれる腰痛への効果を調べた。

 チームの整形外科医、佐藤崇司さんによると、自覚する痛みの最大を10とすると5以上の腰痛を抱える人は5%程度いる。治療には痛み止めの飲み薬や湿布、麻酔による神経ブロック、心身のバランスをとる認知行動療法など、さまざまな方法がある。

 だが、病変や損傷が見当たらず原因がわからない腰痛などでは、こうした治療で効果がなかなかでないケースもある。そこで、かかりつけ医では改善せず、千葉大病院に紹介されて通院している「手ごわい」腰痛を抱える患者にリングフィットのゲームをプレーしてもらった。

 患者40人を、ゲームをするグループ20人と、従来通り薬の治療をするグループ20人にわけて効果を比較した。ゲームのグループは、千葉大病院で週に1回40分、8週間にわたってプレーした。ゲームの開始時に設定する運動負荷のレベルは、患者が自由に設定した。

 従来の治療のみのグループは、8週間後も痛みは軽減しなかった。一方で、ゲームのグループのほうは、腰の痛みが2~3割程度軽くなった。「腰痛の患者が毎週、楽しくこなせていて驚きました」と佐藤さんは話す。

 心理面でも効果があった。ア…

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