無音の世界、命の息づかい 小動物や植物の映像作品、公開中

中村通子
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 小さな虫の細かな毛先が風に揺れ、葉の上のしずくに朝の光が踊る――。身近にありながら、日常生活では気づかない小さな自然の美を動画でつづった「零(こぼ)れ落ちた光を集める―井手豊映像作品展」が、奈義町現代美術館岡山県奈義町豊沢)で8日、始まった。津山市在住の映像作家井手豊さん(56)が、マクロレンズを通し、小動物や植物などを慈しむように撮影した作品は、小さいからこそ豊かに広がる世界を伝えている。

 瞳がつぶらなカナヘビ。オタマジャクシの尾が残る幼いカエル。愛を交わす2匹のチョウ。小さな葉の上で水晶玉のように世界を映す水のしずく。小さな生命の造形の不思議と生の営みを撮る一方で、朽ちかけたキノコやクワガタムシの亡きがら、土に帰る落ち葉などへも、等しくまなざしを向ける。

 主に県森林公園(鏡野町上斎原)で約1年かけて撮影した映像を約20分の作品にまとめた。約60の各シーンは15秒以上もの長いカットでゆっくりと進む。音は一切無い。井手さんは「じっとみつめることで見えてくるひそやかな息づかいや空気の揺らぎを感じてほしい。だから1カットを長くし、音はあえてはぶきました」と説明する。

 自身が一番気に入っているのは、大きなスクリーン一面に広がる豪華なドレスみたいな金色のひだに、大小の真っ白な粒が宝石のようにちりばめられた映像だという。息をのむほど美しい。これが何を写しているのか。あっと驚く答えは、美術館に足を運んで確かめてほしい。

 2月6日まで。1月16、30日の午後は井手さんが来館する。企画展のみなら一般、大学生200円、75歳以上と高校生以下無料(常設展も併せて観覧する場合は700円)。(中村通子)