第1回オンラインで心はつながるか 実は孤独に?「脳トレ」川島教授の分析

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聞き手・牛尾梓
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 再び感染拡大が懸念されている新型コロナウイルス。対面での接触を避ける「非日常」が日常となって、2年が経とうとしています。仕事や暮らしにオンラインを活用するスタイルが広がった一方、何となくコミュニケーションに物足りなさを感じている人も多いのでは。

 オンラインでのコミュニケーションが、脳にどのような影響を与えているのか。「脳トレ」で知られる東北大加齢医学研究所所長の川島隆太教授に聞きました。

 ――脳科学の面からコミュニケーションを研究されていますね。

 私たちは、コミュニケーションに関わる脳の活動として「相手の気持ちを思いやりながら行動する」という面に注目をして研究しています。要は自分自身のことではなく、相手のことを考えながら、相手が何を考えているのか理解する。心理学では「心の理論」と呼ばれるものです。

 心の理論は、脳科学でもはっきりわかっていて、脳の主に3カ所がつかさどっています。一つが、前頭葉の内側、ちょうど額の中央の奥あたり。もう一つが、側頭葉というところの先端。それから側頭葉と後頭葉の間あたりにあります。

 私がCTO(最高技術責任者)を務めている東北大と日立ハイテクによる脳科学ベンチャー「NeU」が独自に開発した脳活動センサーを使って、こうした脳活動を見てみると、相手と良いコミュニケーションが取れている時には、お互いの脳活動の揺らぎが同期するという現象が起こる。脳活動がシンクロするのです。

コロナ禍によって、職場でも、家でも、デジタル化が一気に進みました。技術革新は、私たちの生活を幸せにするのか。そのためには何が必要なのか。第一線の研究者たちの論考をお届けします。

オンラインの脳への影響

 ――コロナ禍でオンライン会議など非対面でのコミュニケーションが増えました。これは脳活動に影響はあるのでしょうか。

 「Zoom(ズーム)」などを使ったオンラインでのコミュニケーションと対面との違いを定量的に評価するため、こんな実験を行いました。

 東北大の学生の協力を得て、学部や性別が同じで、興味関心が似ている人たちを5人一組にして、学部の勉強や趣味など共通するテーマについて、顔を見ながらの対面とズームなどを使ったオンラインとで、それぞれ会話してもらい、脳活動を比較しました。

 何がわかったかというと、顔を見ながら会話しているときは、きちっと脳反応の周波数で同期現象が見られます。ところがオンラインでは、それが一切見られませんでした。

 ――何を意味するのでしょうか。

 5人とも脳活動がまったく同…

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    奥山晶二郎
    (サムライトCCO=メディア)
    2022年1月17日18時35分 投稿

    【視点】川島隆太さんの、わからないことはわからないと言う、誠実な論考。 新聞各社も作っているニュースアプリにも関係しそうなのが、Zoomなどで起きる音声と画像のズレ。 このズレが「情報は伝達できるが感情は共感していない」状態の原因の一つ