ノーベル賞受賞者も研究した魚 淡水への進出のカギにぎる遺伝子

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瀬川茂子
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 生物の形や行動はどのように多様化し、新しい種はどのように生まれたのか――。国立遺伝学研究所静岡県三島市)の北野潤教授らは、そんな進化の謎に挑んでいる。

 実験材料は、約100万年間に多様な種に分かれたトゲウオ科の魚だ。海から淡水域に繰り返し進出して適応したものがいるが、ニホンイトヨは海にすむ。産卵の時だけ川に行き、稚魚は生まれて40~50日で海に戻る。

 淡水への適応の仕組みを突き止めるため、ニホンイトヨの飼育から始めた。最初はうまくいかず、多くが死んだ。ニホンイトヨを育てている水族館に飼育法を聞くと、魚のすり身で元気に成長するという。北野さんたちはプランクトンの一種を与えていた。成分の差を調べ、すり身に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)が重要だと分かった。

 海の微生物はDHAを多く含むため、自然に魚も摂取できるが、養殖業者が人工的に飼育する場合はえさに添加するという話も聞いた。

 一方、淡水の微生物はDHAをあまり含まない。この問題を解決した種が、淡水に適応できたのではないかと思い至った。だが、どうやって?

 この疑問は、遺伝情報を解析…

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