原爆ドーム北側で建物の高さを制限 広島を象徴する景観、守る目的

岡田将平
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 広島市平和記念資料館本館の下から原爆死没者慰霊碑を眺めると、その先には原爆ドームが見える。建築家・丹下健三(1913~2005)によるデザインだ。こうした景観が損なわれないよう、市は4日から建物の高さ制限を始めた。ドーム北側でビルやマンションを新たに建てたり、建て替えたりする場合に適用される。

 高さ制限の対象となったのは、資料館から世界遺産・原爆ドームを眺めたときに背景となる北側の区域だ。資料館からの距離や方角に応じて建物の高さに上限を設け、1キロ地点で約44メートル、5キロ地点で約201メートルなどとしている。平和記念公園内の樹木の成長や移植により、背景の建物が見えなくなる効果も見込んでいる。

 対象区域には中区基町や西区大芝地区、東区牛田地区などが含まれる。法的拘束力を持たせるため、市は都市計画法に基づいて高さを制限する「高度地区」に指定した。違反すればビルなどを建てられなくなる。

 高さ制限をめぐる議論は06年、ドームそばのマンション建設をきっかけに始まった。世界遺産の調査・評価をする国際記念物遺跡会議(イコモス)の会議でも、市に規制を求める勧告が採択された。地権者らの反対があって進まなかったが、16年のオバマ米大統領(当時)の広島訪問にも後押しされ、ドーム北側に絞って制限することになった経緯がある。

 市は、資料館からドームを望む眺めについて「平和都市広島を象徴する景観として、次世代に引き継ぐべき大切な存在」と位置づけている。都市計画課によると、既存の建物では広島商工会議所のビルなど2棟が高さ制限を上回っている。このうち商議所は、中区基町の再開発で27年度に完成予定の高層ビルに移る予定で、その後に現在のビルは解体される。

 清水由明・都市デザイン担当課長は「広島で一番守らないといけない風景だ。高い建物を造る技術も進んでおり、制限をしていないとどういう状況になるかわからない」と話す。今後、対象区域を広げることも検討するという。(岡田将平)