「行政が家庭のあり方に介入」 岡山の条例案に波紋、修正後も反対論

中村建太
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 「社会全体で家庭教育を支える」とうたい、岡山県議会で制定の動きが進む「県家庭教育応援条例(仮称)」案が波紋を広げている。「行政が家庭のあり方に介入するものだ」などと批判する動きが強まり、県議会は昨年12月に修正案をまとめた。「趣旨は変わっていない」となお反対が渦巻くなか、県議会2月定例会に提案される見通しとなっている。

 県議会事務局によると、同様の条例は熊本や静岡など9県にある。岡山県条例素案は自民党県議団の有志がつくり、昨年4月に県議会の委員会に示した。

 前文の理念は「子どもたちのため、全ての保護者が安心して家庭教育を行うことができるよう社会全体で応援する」。条例の目的は「保護者が親として学び、成長していくこと」「子どもが将来親になるために学ぶこと」を促すためとし、保護者には就学前から子どもに愛情をもって接したり、自らが親として成長したりする努力を求めていた。

 素案について県議会は他県に倣い、昨年5~6月にパブリックコメントを募集。自治体を含めて計511件が寄せられた。事務局によると「子どもは将来親になるためだけに学ぶのではない」「家庭のあり方をおしつけるものだ」など相当数の反対意見があったという。岡山弁護士会は昨年9月、素案に対し「尊重されるべき私的領域への公権力による過度な干渉」などとする反対声明を出した。

 これらを受け、県議会は素案を大幅に修正。昨年12月の常任委員会で修正案を示した。たとえば、「子どもが将来親になるために」学ぶという条文は「親になる選択をした場合のために」と変更。他方、努力義務から「子どもに愛情を持って接し」「親として成長していく」などの記述を削除した。

 反対論はなお強い。

 市民グループの「いらないよ!岡山県家庭教育応援条例」は12日、約2万2千筆の反対署名を県議会議長ら宛てに提出。メンバーで県保育団体連絡会会長の川元盛樹さん(35)は「子どもを型にはめるような内容。多様性が失われる危険性を感じる」と語った。

 またデザイナーの伊東大輔さん(42)は修正案について「親になるための学びを押しつける趣旨は変わっておらず、言葉の削除や追加でオブラートに包んだだけ」と指摘。フリーライターの黒部麻子さん(40)は「『応援』という精神論ではなく、子育てにもっとゆとりを持って取り組めるような、具体的な政策を示してほしい」と求めた。(中村建太)