空き家撤去促進へ 企業と協定 解体費用見積もり、業者も紹介

斎藤徹
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 急速な人口減少に伴い増え続ける空き家対策に、福島県塙(はなわ)町が乗り出した。空き家関連のサービスを手がける企業と連携して空き家の所有者に撤去を促し、新しいまちづくりにつなげようとの試みだ。

 町は空き家対策を進めるにあたり、昨年12月、民間企業「クラッソーネ」(名古屋市)と「空き家除却促進に係る連携協定」を結んだ。同社は人工知能などの最新技術を活用し、空き家などの解体工事費用を見積もりした上で所有者に解体業者を紹介するサービスを手がける。今後、同社は町のホームページなどを介して空き家所有者への情報発信や相談を行う。

 町が2015年度に実施した空き家実態調査によると、町内の空き家は322件、住宅に占める空き家率は8・6%に上った。このうち「利用不能・立ち入り困難」と判定された住宅は44%だった。倒壊する危険性がある空き家もある。

 町の人口は1955年の約1万6670人から減少傾向で、現在は約8300人。2040年には6千人台にまで落ち込むと推計されている。

 空き家が増えれば、景観を損ねるだけでなく安全上の問題もあるとして、町は18年度に空き家対策計画を策定。所有者に対して空き家撤去を促すなど、対策に乗り出した。

 だが、所有者が町外の施設や県外の在住で連絡が取れないなどの理由で、撤去は思い通りに進んでいなかった。「解体費用がどれくらいかかり、どこに頼めばよいかわからない」などとの声も相次いでいた。

 そこで、空き家をはじめ解体工事の見積もりで1万件以上の実績を持つ同社と協定を結ぶことにした。締結式で宮田秀利町長は「空き家問題は塙でも大きな問題だ。専門性の高い会社と連携することで、町内の空き家撤去が進むことを期待したい」と話した。

 同社が空き家対策に悩む自治体と協定を結ぶのは18例目で、東北では初めてという。川口哲平・代表取締役CEOは「町を介して空き家の扱いに困っている所有者に適正価格での解体費用を提示することで、空き家撤去促進につながる」と利点を語った。

 空き家問題は全国で深刻化している。総務省がまとめた最新の住宅・土地統計調査によると、18年10月時点で全国に空き家が846万戸あり、5年前から26万戸増えた。空き家率も13・6%と、63年の調査開始以降、過去最高だった。福島県内の空き家は12万3千戸。空き家率は14・3%と、全国平均を上回る。

 国は15年、「空き家対策特別措置法」を施行し、自治体が所有者に対し、倒壊のおそれや衛生上の問題がある空き家の撤去を命令できるようにするなど、空き家対策を強化している。人口減や高齢化に加え、今後は高度成長期に建てられた住宅が次々と寿命を迎えるため、空き家はさらに増えると予測している。(斎藤徹)