ダンサーの勅使川原三郎さんに金獅子功労賞 ベネチア・ビエンナーレ

編集委員・吉田純子
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 イタリアのベネチア・ビエンナーレ事務局は12日、7月に開催予定のダンス部門で、ダンサーで振付家勅使川原三郎さん(68)に金獅子功労賞を授与すると発表した。「振付家、ダンサー、画家、彫刻家、デザイナーとして、動きの独自性の高さをもって新たな美学を創出した」としている。

 ビエンナーレは最先端のアートの動向を発信するもので、建築、美術、演劇などの部門がある。ダンス部門は7月22~31日にベネチアで開催され、受賞記念公演として、オープニングで勅使川原さんのストラビンスキー「ペトルーシュカ」が上演される。この作品は2017年、勅使川原さんの本拠地である東京・荻窪の「カラス・アパラタス」で初演された。

 勅使川原さんは1953年、東京生まれ。20歳からクラシックバレエを学び、のちに独自の創作に入った。85年、ダンサーの宮田佳さんとダンスカンパニー「KARAS」を創設し、翌年、振付家の世界的登竜門である「バニョレ国際振り付けコンクール」で準優勝と特別賞を受賞した。2002年、朝日舞台芸術賞受賞。

 照明、映像アーティストとしても活躍し、パリ・オペラ座バレエ団への振り付けを手掛けるほか、各国の主要な芸術祭や劇場から招かれるなど、国際的に活躍している。現在は愛知県芸術劇場芸術監督も務めている。

 勅使川原さんのコメントは以下の通り。

 日々の空の変化の下で、私たちは自然の動き以上に確証のない人生を生きています。

 それは矛盾と対立なしに成り立たないことは確かです。

 人々が信頼し合うこと、そして尊敬し合うことによってしかその矛盾を受け入れることはできないでしょう。

 喜びと共に矛盾し、他者との違いを受け入れる時、私たちは喜びを感じることができるのだと思います。

 小さな小道に差し込む陽の光や、入り組んだ小さな水路から反射する月の光は思いもかけない贈り物になることがあります。

 今私が知らせを受けた金獅子賞の眩(まぶ)しさは、私が今まで出会った全ての人々に注がれるべきものです。(編集委員・吉田純子)