生きることの意味、自分でないものたちとの共同作業 森田真生さん

有料会員記事

[PR]

独立研究者・森田真生さん寄稿

 二年前に亡くなった祖父が、亡くなる直前まで読んでいた絵本がある。鳥と、鳥が作る巣について書かれた絵本だ。僕は自分の書斎にこの本をしまっていて、ときどき開いてみることがある。祖父がどんな思いでこの本を読んでいたか、想像をめぐらせてみるのだ。

〈もりた・まさお〉1985年生まれ。京都に設けた教育・研究・遊びの融合の場「鹿谷庵(ろくやあん)」を拠点に活動。「数学する身体」(小林秀雄賞受賞)など著書多数。

 亡くなるとき祖父は九五歳だった。僕の母と叔母が、その日は二人揃(そろ)って祖父の家にいた。夕食の前、祖父はこの絵本を、二人と一緒に読んでいたという。

 食事のあと祖父は、娘二人の手を持ち、ベッドに移動しようとした。その途中、ふわりと足の力が抜け、枕元近くに座り込むように倒れた。娘たちはすぐに祖父を起き上がらせようとしたが、このときすでに祖父は息絶えていた。

祖父の死後、祖父が愛した庭やそこを訪れる鳥たちを見て、森田真生さんはあることに気づきます。そしてコロナ禍、森田さんも自宅の庭の手入れに夢中になったといいます。祖父の晩年の姿から得た気づきとは。

 東京にある祖父の家に僕が到…

この記事は有料会員記事です。残り3459文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
  • commentatorHeader
    平尾剛
    (スポーツ教育学者・元ラグビー日本代表)
    2022年1月25日13時52分 投稿

    【提案】解説とか視点とかの分析的な解釈をせず、言葉の流れにただただ身を委ねていたい。コンテンツは二の次に、言葉をなぞらえるだけで感じられるその心地よさに浸っていたい。そういう文章がある。私にとっては森田真生氏のテクストがまさにそうで、読み進めるほど

  • commentatorHeader
    藤田さつき
    (朝日新聞オピニオン編集部次長=多様性)
    2022年1月24日11時28分 投稿

    【視点】森田真生さんのこの寄稿のテーマは、「共に在るということ」です。 文章は、いくつかの断片によって構成されています。手が記憶する祖母の背中、堂々巡りの日常、トークライブでのリアルなやりとり。時間や場は異なるけれど、どこかで重なり影響し合ってい