感染症との向き合い方を「選び取る」 私たちが学ぶべき未来視点とは

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真野啓太
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 新年に入り、新型コロナウイルスの感染者数が急速に増え、収束への道筋はまだ見えていません。

 中世ヨーロッパのペストや20世紀のスペイン風邪といった感染症を現代から振り返ると、見えてくることがあります。パンデミックは歴史を動かす、ということです。

 感染症の歴史に詳しい長崎大山本太郎教授は、感染症はそのときどきの社会システムの「弱点」を突く形で流行し、「それまでに社会にあった問題を顕在化させる」と指摘します。

 ではコロナ禍は将来、どんな歴史として振り返られるのか。「未来視点」から考えた時、私たちはいま何をすべきなのか。話を聞きました。

「不条理な死」と直面、社会矛盾を問う動き

 ――感染症が歴史を動かしてきたといわれます。感染症の何が、社会を変えるのでしょう。

 やはり多くの人が亡くなってしまう、ということでしょう。

 そこには二つの視点があります。

 一つはパンデミック以前の人口で成り立っていた社会のシステムが、変わらざるを得なくなるという側面です。

 中世ヨーロッパでペストが流行したときには、当時の人口の3分の1の人が亡くなったとも言われます。大幅に減った働き手の待遇が見直され、地主と農奴の関係や商売のシステムが変わっていったと考えられています。

 もう一つは、感染症によって…

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