瀬戸際の感染症ビジネス 3
10年前に国内外で流行した新型インフルエンザの教訓も日本は生かせなかった。
2009年、日本では新型インフル向けの国産ワクチンの製造が間に合わず、海外製ワクチンを緊急輸入する事態に陥った。次のパンデミックに備えようと、国が力を入れたのが国内メーカーの生産設備の近代化だった。
少子化によるワクチン市場の縮小などで、昔ながらの鶏卵培養設備に代わる新たな設備への投資が難しくなっていた4社に対し、国は計1千億円超を投じて新方式の培養設備をつくらせた。
事業は曲折を経ながらも19年に完了。「半年間で全国民分のワクチン生産能力」という目標を一応は達成した。新型インフルは発生翌年には流行のピークが過ぎ、日本は諸外国に比べて感染者や重症者数が少なかった。
「設備の維持費が重荷に」
熊本県に拠点をおくKMバイ…
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