第3回政府の統計委員会・初代委員長が警鐘 統計に「真の司令塔」編成を
聞き手 編集委員・市田隆
政府の統計委員会の初代委員長・竹内啓さん
統計は国の基本。その信頼が失われれば、国を誤る――。私は常々こう訴えてきた。太平洋戦争中の日本は統計数値を隠蔽(いんぺい)した結果、どれが本当の数値かわからなくなり、国が全体状況を把握できないまま、敗戦に至った。旧ソ連も計画経済の中で計画に合わせた数字が捏造(ねつぞう)され、統計への信頼性が失われた結果、計画経済が破綻(はたん)した。
今回の問題では、建設業の受注実態を表す国の基幹統計が書き換えられた。提出期限に間に合わない建設業者分を推定値で計上することはありうるが、推定値だと明らかにし、後でまとめて提出された分により数値を修正したり、推定値との差を勘案したりすれば済む話。それを二重計上したというのは、あまりに「素人」的な誤りだ。
これは国の統計軽視が招いた…