青森の筋子、香川・小豆島のそうめん 「熱い思い聞かせてください」

北沢拓也、野田 枝里子
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 全国各地の食文化を楽しめる東京都内の店を紹介する「東京ご当地紀行」。農海産物や加工品の読者プレゼントには、毎回多数の応募が寄せられています。今回は「おかわり編」と題し、これまでの掲載の中から、応募が多かった「青森県の筋子」と「香川県小豆島の手延べそうめん」を改めて取り上げます。応募フォームの自由記述欄に記入があった読者を訪ね、思い出話を聞きました。(北沢拓也、野田 枝里子)

 両親が青森出身です。子供の頃、夏休みは田舎に帰っていました。常に食卓に筋子があり食べ放題。じいちゃんが筋子納豆を食べていたのを思い出しました。なぜあんなに美味(おい)しい筋子が知られていないのか、イクラに負けているのかと、いつも思っていました。

 東京都調布市の宮沢紀子さん(58)は、こんな記述とともに応募した。自身も青森市で育ち、9歳で東京に引っ越した後も、毎年夏休みの大半を青森県浪岡町(現在は青森市に合併)にある祖父の高谷平次郎さん(故人)の家で過ごした。

真っ赤な筋子 あんなにおいしいのに……

 「筋子がどっさり入った鉢が朝昼晩、食卓にありました。もったいないなんて思わずに、バクバク食べていました」と笑う。白米の上に、一口大に切られた筋子を。「あんなにおいしいのに、東京の物産展でもあまり見かけない。青森の人は当たり前すぎて、魅力に気づいていないのかな」

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青森県職員の名刺にも使われている写真。同県のブランド米「青天の霹靂(へきれき)」に真っ赤な筋子がのっている=同県観光企画課提供

 旧浪岡町は、陸奥湾に面する青森市中心部から南西に15キロ超離れた山あいにあり、特産品はリンゴだ。宮沢さんの母・石岡美紀子さん(81)は、自身の父・高谷さんを「青森の市場に頻繁に出かけていました。筋子だけでなく、タラを一本買って、自分で焼いたり煮たりして振る舞ってくれました」。世代を超えて、海の幸の魅力が受け継がれてきたようだ。

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筋子の思い出を語る(左から)宮沢紀子さんと母の石岡美紀子さん=東京都調布市

 青森以外にルーツがある読者からも、多くの思い出が寄せられた。

 「懐かしい筋子?」と貪(むさぼ)るように読みました。この世で一番筋子が好き。盛岡出身ですが、津軽弁、太宰治、岩木山が大好きです。

 東京都世田谷区の古城智砂さん(69)は、母親が決まった魚屋で買ってくれ、幼い頃から慣れ親しんだ。父親が営む茶葉販売店では焼きのりも売っており、「筋子とご飯を巻いて。最高のごちそうでした」。

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筋子の思い出を語る古城智砂さん=東京都世田谷区

 スキーを続けたかったのと、同県の旧金木町(現・五所川原市)出身の作家・太宰治のファンだったことも影響し、弘前大学(同県弘前市)に進学。そこでも筋子の魅力を再認識する経験をした。

 知人宅に招かれた時、焼き魚や煮物とともに筋子が並んだ。来客用に高級品を買うのではなく、普段食べている筋子をごく自然に出してくれたのが印象的だった。「筋子を見ると、人とのつながりや温かさを思い出すんです」

 横浜市で就職してからも、盛岡への帰省のたびに母・久子さんが持たせてくれた。「経木に包んで、昔ながらのアルミ製の弁当箱に。潰れないように詰めてくれました」という思い出の味だ。

 故郷の群馬では子供のころは売っているお店も少なく、同級生からは気持ち悪いなどと言われました。毎年新米を初めて食べる日は必ず筋子。人生の最後も、新米と筋子が食べたいと子供たちに伝えてあります。

 宮城県富谷市の平戸泰子さん(53)は、母親の実家が新潟県内のコメ農家。「新米の時期には父がお米をもらいに行き、一緒に筋子を買ってきた。これ以上の組み合わせはないと昔から思っていました」。幼少期の遠足で筋子のおにぎりを持っていったら、友人に「なんだそれ?」と驚かれた。「イクラやタラコに比べたら影の存在。見たこともなかったのでしょうね」

 筋子のおいしさの魅力を「食感も、かんだときに口の中に味がしみ出す感じも本当にたまらない」と話す。「誕生日はケーキよりも筋子」というほどで、夫と2人の娘も筋子が好きだという。

うどん県」にある小豆島 そうめんも魅力

 香川県出身です。うどんだけでなく、小豆島のそうめんも帰った時に購入して、東京の自宅だけでなく、家族や親戚にも送って喜ばれています。

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長い竹箸を使い、麺と麺がくっつかないようにのばす「はし分け」の作業。ちょうど最盛期を迎えている=キンダイ製麺提供

 東京都東大和市の秋山勇さん(71)は夏になると、小豆島そうめんのブランド「島の光」を食べた。「最近でこそ冷やしうどんがあるが、昔は温かい『かけ』が定番だった。だから、夏は冷たいそうめん。氷に浮かべて、つゆにつけて食べるのが一番。冬は温かいつゆで。妹が作る、野菜やハムをのせたサラダそうめんもおいしかったなあ」

 香川に帰省すると、子どもたちにそうめんを送った。「『島の光』が一番おいしいと言ってくれる。おまけに瓶に入っただしも送ったら喜ばれた」。今はネットで購入するという。

 夏場はソーメンに限ります。茹(ゆ)で時間が2分と短いのが楽。蕎麦(そば)だと10分くらいで、暑い夏は大変です。中学・高校時代、小豆島から同級生が船で通学していました。霧が出たり海が荒れたりすると欠航で欠席を余儀なくされていました。

 そう思い出を語ってくれたのは、東京都武蔵野市の山根光生さん(72)。親が転勤族で、小学5年の時に石川県から香川県に引っ越した。高校は高松市で寮生活をしていたという。

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2019年の同窓会で、高校卒業以来となる高松に訪れたという山根光生さん。「高校時代にタイムスリップしたみたいに楽しかった」=東京都武蔵野市、野田枝里子撮影

 小豆島そうめんは、夏になると今でもよく食べるという。「小豆島のそうめんは、ごま油をつけて細く練るのが特徴的。スーパーにあれば買うし、新橋にある『香川・愛媛せとうち旬彩館』(アンテナショップ)にもよく買いに行きます」。幼少時、全国各地に住んだ山根さんだが、ふるさとは高松だと思っている。

 郷土愛あふれる投稿をもう一つ。横浜市の岡田真以子さん(28)だ。

 小豆島出身なので、そうめんが懐かしい。やはり夏はそうめんだなと思った。地域伝統の食文化の記事は、地元のものでも新たな発見があってさらに地元愛が強くなる。

 小豆島そうめんの「島の光」を食べて育った。産地の違うそうめんを食べた時、その違いに驚いたという。「これがそうめん? と思うくらい味が違った。食べ比べればわかる。私の中でそうめんは小豆島なんです」。それでも、学校や友達とはうどんを食べていたそうで、やはりそこは「うどん県」ならではということか。

 小豆島出身だというと、うらやましがられた。「島の外に出るには船しかないし、台風が来たら船は止まるし。『理想の場所』と言われても、意味が全然分からなくて。都会がキラキラして見えて、高校の時は島を出るのが憧れだった」

 でも、最近はその意味がわかってきた。2019年に仕事で横浜に引っ越してきたが、高層ビル、マンション、緑も少なく、狭い公園……。「海に囲まれた小豆島は、景色がきれいだったな」と思い返す。「そうめんだけじゃなくて、海の幸など他にもおいしいものがある。記事を読んで、帰りたいなあと思いました」

 「おかわり編」なので、プレゼントも前回と同じ商品を。筋子は、青森駅前の複合施設「アウガ」内の新鮮市場に店を構える小山内商店の「極上甘口すじこ」(約350グラム、税込み4500円)。そうめんは、小豆島に本社を置くキンダイ製麺の「国内産原料100%使用 小豆島手延素麺」(2キロ、税込み3024円)を抽選でそれぞれ5名様にプレゼントします。

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読者プレゼントの青森の筋子(上)と香川・小豆島のそうめん

 どちらを希望するか選択の上、ご応募ください。締め切りは23日。朝日新聞デジタル会員が対象(無料でご登録いただけます)。応募は専用ページ(http://t.asahi.com/gotochi0114別ウインドウで開きます)へ。QRコードからもアクセスできます。

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プレゼント応募用のQRコード