震災翌年、神戸で決心 「忘れない」を続けるために 高橋しんさん

有料記事阪神・淡路大震災

聞き手・狩野浩平
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 阪神・淡路大震災から17日で27年。都市部を襲った大地震は人々の価値観をも揺るがし、小説や映画など様々な創作に影響を与えた。当時はまだ娯楽のイメージが強かった漫画も、例外ではない。災害の恐ろしさ、被災者の心の傷、記憶の継承……。震災が投げかけた様々な課題を、時に生々しく、時に柔らかく描き出す。「最終兵器彼女」などの作品で知られる高橋しんさん(54)は、「当事者でないから伝えられることがある」と話す。

 たかはし・しん 1967年生まれ、北海道出身。93~98年に連載した「いいひと。」は、97年にテレビドラマにもなった。代表作に「最終兵器彼女」。

「私が描いていいのか」 漫画化に迷い、返ってきた答え

 1997年に、当時連載していた「いいひと。」という作品の中で、計6話の「神戸・震災復興編」を描きました。

 連載の主人公はスポーツ用品メーカーに勤めるサラリーマンです。その彼が出張で神戸を訪れ、被災者の声を聞く。「壊れてつらい思いをするなら最初から何もない方がいい」。そう考えるようになってしまった子どもたちのため、主人公が壊れることのない「想い出」を作ろうとするという物語です。

 私は震災が起きる前、「いいひと。」を描くために神戸のスポーツ用品メーカー「アシックス」を取材したことがありました。神奈川県の自宅で震災報道を見るうち、漫画で何か描けないかと考えた。そこで96年に神戸に行きました。

 新神戸駅で新幹線を降り、被…

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