豊川悦司×阪本順治の共犯関係 怪作「弟とアンドロイドと僕」を語る

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構成=編集委員・石飛徳樹
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 一筋縄ではいかない作品を撮り続ける阪本順治監督。公開中の「弟とアンドロイドと僕」は彼の長い経歴の中でも最上級の不条理な空気をまとっている。主演は阪本映画を知り尽くす豊川悦司。その豊川をもってしても役作りは困難を極めた。日本を代表する監督と俳優が、今回の映画作りについて語り合った。

 《豊川は97年、「傷だらけの天使」で阪本映画に初出演。以降、「新・仁義なき戦い。」など阪本監督とのコラボレーションが多い》

 豊川 実はこれまで、僕の出演作は阪本映画の中でも、原作物やリメイクが多かったんです。今回は完全オリジナル脚本での主演なので、とても期待感がありました。そうしたら、ものっすごいオリジナルが来た。2回転3回転したオリジナルが来てしまったぞ、と。

 阪本 まあ、市井の人々とかそういうオリジナルだったらね。こんなに大変じゃなかったかもしれない。

 豊川 僕は、普通の焼き鳥屋のオヤジとかでよかったんですけどね。

 《豊川演じる桐生は孤高のロボット工学者。自分に肉体が存在しているという認識を持てず、片足を使わずにケンケンで歩くなど奇行が目立ち、大学では変人扱いされている。彼は廃屋になった洋館で、もう1人の「僕」である自分そっくりのアンドロイドをひそかに作っていた……》

 豊川 いやあ、もうねえ(笑)。最初に聞いた時は「えっ!?」という感じでした。「これ、映画になるの?」と。俳優は自分の肉体を使って人物を表現するわけですが、どこから手をつければいいのか、全然見えなかった。阪本監督がこんな映画をやると聞けば、すごくワクワクしますよね。自分が演じるんじゃなければ(笑)。

 阪本 最初はもっと喜劇調で、桐生に関わる人間もたくさんいた。それをどんどん削(そ)ぎ落として今の形になったわけですが、豊川君と何度も話し合ううちに変遷していった感じです。何か実験的なものをやりたかったんだと思います。これまで全く触っていないジャンルとか、想像だにしなかった主人公のあり方だとか、そういうものを模索した部分があり、未知数のまま始まった感じでした。

分からないことは分からないままに

 豊川 阪本監督が今回はどういうスタイルで仕事をするのか、と僕は問いかけていたような気がします。そこが正直な話、なかなか見えてこなかったんです。物はあるんだけど、これを使って何をしようとしているのか。船の行き先がね、分からなかった。

 阪本 僕はね、言葉数は多い…

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