1日あたり1千人を超える新規感染者が出ている沖縄県では、家族が感染するなどして濃厚接触者となり、出勤できなくなる人も多い。那覇市消防局は感染者と濃厚接触者などの増加により、13日から管内の2消防分署・出張所の態勢を3交代から2交代に変更。3交代なら24時間の勤務後に2日間の休みが取れるが、2交代だと1日しか休めない。待機が解消されるまでの措置という。
沖縄海邦銀行(那覇市)では今月1~12日に職員20人が感染し、濃厚接触者やその疑いのある人が「その倍以上いる」。感染者が出た場合に職場の濃厚接触者を減らすため、11日から窓口営業の職員を2班に分けて交代で勤務してもらうことにした。これに伴い、お昼の窓口業務を1時間休業することになった。
オミクロン株に対し「慎重の上にも慎重に」との姿勢を示す岸田文雄首相にとって、濃厚接触者の待機期間を緩和する判断は悩ましい課題だった。沖縄の状況を受け、政権内で「このままでは社会活動が成り立たなくなる」との声が上がっても、未知のウイルスへの制限を緩めることで国民から受ける批判を懸念した。
しかし、政府対策分科会の尾身茂会長が10日、首相に「(オミクロン株の)特徴に合わせた形で、社会機能が混乱しないような方法をとらなくてはいけない」と進言。専門家から「重症化率は低い可能性が高い」との見解も寄せられ、緩和へ傾いた。官邸幹部は「経済か、感染対策かの二者択一の段階ではなくなった」と語る。
一方、海外では先んじて社会活動を回すために待機を緩和する動きが進む。米国ではワクチンを3回接種していれば濃厚接触者でも働くことができる。英国では12月末、イングランドについて、10日間だった感染者の自主隔離期間を、検査を条件に7日間に短縮できるようにした。ワクチンを2回接種していれば感染者と同居していても隔離の必要はない運用にもなっている。
感染症対策に詳しい関西福祉大学の勝田吉彰教授(渡航医学)は、待機期間の短縮は「必然」とみる。とりわけ電気や水道、介護など暮らしを支える業務に就く「エッセンシャルワーカー」の不足は社会活動に影響が大きいほか、「必要以上に待機が長いと代わりの職員をほかの職場から集めることになり、組織内で感染が広がることもある」と指摘する。ただ、待機期間の短縮で感染リスクも生じる。「濃厚接触者が高齢者や基礎疾患がある人に接しないような業務組み替えなどが必要になるだろう」
沖縄県の玉城デニー知事は13日記者会見し、エッセンシャルワーカーで濃厚接触者が出た場合の待機期間を見直すよう政府と調整していると明らかにした。県試算で対象は47業種10万5300人。県の実情に応じ柔軟に対応できるようにしたいという。
分類変更には慎重姿勢
緩和のさらに先にあるのは…
- 【視点】
コロナ政策のほとんどが、あっちを立てれば、こっちが立たずという難しい問題だが、この問題はまさにそのようなものだ。 重症化するリスクが低いとはいえ、極めて感染力の強いオミクロン株が広がっている中で、コントロールできなくなるのもこわい。
- 【視点】
エッセンシャルワーカーが濃厚接触者になったとき、きちんと検査で陰性を確認したうえで待機期間を短くできる見直しは必要だし、急がねばならないと私は思います。例えば訪問介護で出勤不能なヘルパーが相次いでケアに穴があいてしまうと、独居や老老介護世

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