「額のしわを取り除きたい」 悩んだ住職が、幻の仏像を再現するわけ

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木下広大
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 【香川】10年前の雪の日、親子3人が寺にお参りにやってきた。母親がストレッチャーを押し、その上には中学生くらいの女の子が横になっていた。口は開いたまま。障害で体が自由に動かせないようだった。隣を歩く父親は、参拝中ずっと苦悩の表情を浮かべ、額に深いしわを寄せていた。

 その様子を見守っていた四国八十八カ所霊場80番札所・国分寺(高松市)住職の大塚純司さん(49)には、父親が娘の障害を受け入れられず、苦しんでいるように見えた。どうにかしてあの額のしわを取り除いてあげられないか。その後も悩み続けた。

 その前の春には、東日本大震災があった。大塚さんは四国霊場の代表の一人として被災地を慰問。惨状を目の当たりにし、困っている人に何かできないかと考えていた時期でもあった。

 そんなある日、大塚さんは百貨店の催しで展示されていた1体の彫刻に出会った。ピンと背筋を伸ばし、遠くを見つめる木彫りのチーター。原寸大で細部までリアルに再現され、命が宿っているかのように感じた。

 彫刻家の大森暁生(あきお)…

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