スタートアップに熱視線 コロナ禍の沖縄で、今何が起きているのか

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北川慧一
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 本土復帰50年を迎える沖縄で、新たなビジネスモデルで起業するスタートアップを支援しようという動きが加速している。情報技術(IT)関連のビジネスプランコンテストが開かれたり、沖縄独自のシェアオフィス整備に国が補助制度を設けたりしたほか、新しい沖縄振興計画にも起業支援が盛り込まれる見通しだ。新規開業率が全国一の沖縄は廃業率も高く「多産多死」とも言われるが、なぜ今スタートアップ熱が高まっているのか。

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国際通りに近い「アワバー」に起業家らが集まり、IT企業経営者や投資家らと交流した=2021年12月、那覇市、北川慧一撮影

コロナ禍を逆手に、なるか「コーラルバレー」

 那覇市中心部にあるシェアオフィスで昨年末、起業家によるコンテストが開かれた。沖縄を中心とするスタートアップ企業6社が参加。東京や大阪のIT企業経営者や投資家ら4人の審査員を前に、自らの事業計画を披露した。

 釣り人と釣り船のマッチング、人工衛星のデータを解析して顧客に提供――。登壇した起業家たちは自身の事業計画を熱っぽく語った。審査員からも「このままでは株式上場は無理。技術をもとに横展開を考えて」「個人向けではなく法人向けの方がいいのでは」など真剣な指摘が飛んだ。審査員らは継続的に起業家たちの相談に乗る役目を担う。コンテスト終了後には起業家らの集うバーで、ベンチャーキャピタル(VC)関係者も交えて構想を語り合った。

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起業家がビジネスプランを発表するコンテスト「コーラルピッチ」の様子。審査員を務めるIT企業経営者らから厳しい指摘が相次いだ=2021年12月、那覇市、北川慧一撮影

 スタートアップが成長するには、成功のお手本となる起業家(ヒト)と資金を提供するVC(カネ)が欠かせない。ただ、首都圏から遠い離島で市場規模も小さい沖縄は、ヒトもカネも乏しいとされてきた。

 ところが、コロナ禍が思わぬ「追い風」を生んだ。リモートワーク(遠隔勤務)が普及したことで、地理的な課題が解消へ。温暖な気候や豊かな自然も、経営者や投資家らの目には魅力に映る。

 コンテストを主催した沖縄スタートアップ支援協会の兼城駿一郎・代表理事は「沖縄をスタートアップの聖地にしたい」と意気込む。兼城さんが掲げるのは、「コーラルバレー」という起業家支援構想。「サンゴ」とIT企業が集積する米シリコンバレーを掛け合わせた造語だ。沖縄に関心のある経営者や投資家と地元の起業家をつなげ、成長を促す狙いだ。兼城さんは「沖縄という魅力で様々な人が集まってくる。地方なのに東京につながる大きな絵を描きたい」と話す。

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起業家がビジネスプランを発表するコンテスト「コーラルピッチ」の様子=2021年12月、那覇市、北川慧一撮影

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