後継者不足の解消なるか 府学舎初の修了生2人が茶農家に

甲斐俊作
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 宇治茶の主産地のひとつ京都府南山城村で、今年から2人の若手が茶農家の仲間入りをする。府の新規茶業経営者の育成事業を履修した初の修了生。高齢化で農家の減少が続く産地を活性化できるか、注目が集まっている。

 2人が学んだのは、2019年に府農林センター茶業研究所(宇治市)が設立した「宇治茶実践型学舎」。宇治茶生産の担い手を確保し、新規の経営者を育成するための研修制度だ。原則2年間、茶業研究所の茶園や、インターンシップ先の農家での栽培や茶畑の管理、施肥や耕運、収穫作業などを経験し、茶業経営の基礎的な技術を習得する。

 修了生の1人は、京都市在住の谷口義昌さん(25)。大学では情報工学を学んだが、就職活動を機に「もともと自然が好きだった」という自分のことを見つめ直した。お茶を飲むのが好きで調べているうちに、宇治茶の産地でも、農家の高齢化で後継者不足になっていることを知った。府のジョブカフェで学舎の設立を知り、門をたたいたという。

 南山城村役場に事務局を置き、九つの農家でつくる「南やましろ村茶業塾」が、修了後の谷口さんを受け入れ、新規就農を支える。谷口さんは、学舎での働きぶりを見た同塾のメンバーから、「一緒にやろう」と声をかけられた。まずは、約40アールの茶畑を任されることも決まった。

 村を走る国道163号からさらに山あいに車で約30分入った高尾地区に、谷口さんが任される茶畑はある。谷口さんは、「村の中心部からは離れる集落だが、景色はばつぐん。農作業も気持ちが良かった」。茶業塾のつてで、近く、村の空き家に移住する。軽トラックも農機具もまだ所有していないが、地元農家から借りてゼロからスタートさせる。働きによっては栽培面積をさらに増やせる見通しだ。

 この高尾地区も、後継者不足は深刻だ。茶摘みの作業が追いつかず、放置状態になった茶園も出始めている。府茶業統計などによると、南山城村の宇治茶の生産量は和束町に次いで2位。茶農家数は18年度は70軒だったが、現在は62軒に減っている。

 谷口さんの指導を担当した松田智宏・茶業研究所課長補佐は、「宇治茶の主産地とはいえ、後継者不足は年々深刻になっている」と話す。それだけに、新規就農者への期待も高いという。

 谷口さんとともに学舎を修了した三重県伊賀市の尾崎鷹さん(35)も、南山城村の農業法人の一員として就農する。谷口さんは「学舎では実践と座学で、多くのことを学んできた。品質の高い宇治茶を生産できる農家になれるよう頑張りたい」と意気込んでいる。(甲斐俊作)