iPS細胞からつくった細胞、脊髄損傷患者に移植 世界初 慶大

神宮司実玲
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 慶応大は14日、iPS細胞からつくった神経のもとになる細胞を、症状が重い脊髄(せきずい)損傷の患者1人に移植したと発表した。iPS細胞をつかった脊髄損傷の治療は世界で初めて。経過は順調で、リハビリをしながら、今後1年かけて安全性や有効性を確認する。

 移植の対象は、事故などで運動や感覚の機能が失われた「完全まひ」という最も重い状態で、脊髄を損傷してから2~4週間の「亜急性期」の患者。京都大iPS細胞研究財団が備蓄している他人のiPS細胞を使い、神経のもとになる細胞を約200万個つくって、損傷部に移植した。

 脊髄損傷は、リハビリ以外に有効な治療法は確立していない。移植した細胞には、いたんだ神経回路を修復したり、脳からの信号を伝える組織を新たにつくったりする効果があると考えられている。慶応大は4人の患者に移植する予定だ。

 慶応大の臨床研究の計画は2019年2月に厚生労働省の部会で了承されていたが、新型コロナウイルスの流行などで、患者の募集が延期となっていた。(神宮司実玲)

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