ツイッター、「見たくない自由」強化 期待の英語版の「あの機能」は

藤えりか
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 SNSでの誹謗(ひぼう)中傷を防ぐため、米ツイッター社が対策を相次ぎ打ち出している。12日には、特定の表現やアカウントなどを見ないようにする「ミュート」や、特定アカウントのアクセスを制限する「ブロック」の機能を拡大すると発表。ただ、ブロックすることで逆切れされたり、見えない形で中傷が続いたりすることへの懸念は残っており、英語版では先行導入・試行している「あの機能」の日本語版を期待する声があがる。

 「ミュート」は、攻撃的だったり不快だったりする表現や、それを書き込むアカウントを目にせずに済む意味で、利用者の精神的な防御手段になっている。また、「ブロック」すると、相手が自分のツイートを見ることもできなくなる。

不快な表現、見えない範囲広がるけれど

 これまでは、あくまで自身のタイムラインや通知から見えなくなるだけで、「#話題を検索」タブや、「トレンド」には表示されていた。今回の措置で、そうした場でも見えなくなる。

 「ネット炎上の研究」などの著作がある国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授は「SNSを使う人が増え、日常的に不快な情報に出会う確率が高くなっている。ツイッターで中傷されたプロレスラーの木村花さんが亡くなるなど深刻な被害も出ており、ネット上の中傷は『仕方ないもの』ではなく、対処すべきだととらえられるようになった。表現の自由を侵害しない形で、自分の手で『見たくないものを見ない自由』を設定できる適切な機能だと思う」と評価する。

 ツイッター社はこのところ、「見たくない自由」を利用者が行使できるようにする措置を相次ぎ打ち出している。昨年8月には、返信できるアカウントを制限できる機能を導入。投稿ごとに、自分がフォローしているアカウントなどだけが返信できるように設定できるようになった。翌9月には、フォローしてほしくないアカウントをフォロワーから外す機能もできた。

 ただ、一連の機能拡大にも、懸念は残る。

 中傷などが書かれた場合、ミュートやブロック、フォロー外しをしても、ツイッターには残り続け、他の利用者もそれを見ることができる。また、「ブロックをすると、対象アカウントがそれに気づいて、逆上して別のアカウントで一斉に攻撃してくる可能性は、ゼロではない」と山口准教授。自分でブロックすることに抵抗感のある人もいて、「ブロックできず、中傷を受け続けることになり、ダメージを受けてしまう」と指摘する。返信の範囲を狭めた場合、そのことでさらに中傷を招く場合も出ている。

英語版で先行の「あの機能」への期待

 そこで、利用者の間で期待が高まっているのが、英語版で昨年、相次ぎ先行導入または試行中の二つの機能だ。

 一つは、「有害もしくは相手を傷つけるおそれのある返信」を打ち込むと、送信ボタンを押す前に「ちょっと考え直して」と注意喚起が表示される機能。昨年5月に英語版で導入された。ツイッター社によると、これにより、促されたアカウントの34%が最初の返信を修正または削除したほか、一度促されたアカウントが攻撃的な返信をする例が平均で11%減少したという。

 もう一つは、「侮辱的あるいは攻撃的な返信をしたり、反復的なスパム行為を行ったりするアカウント」を一定期間、自動的にブロックする機能。「セーフティーモード」と呼ばれ、昨年9月から米国の英語版で試行中だ。

 いずれも、日本語版は、まだない。問題のない表現まで誤って検出して投稿をむやみに制限しないようにする必要があるため、機械学習と自動言語処理の効果が出るのに時間がかかるためだ。まずは英語を対象にし、徐々に他言語などに適用していく見通しだ。

 「機能として備わっていれば、利用者が自分でブロックする心理的なハードルもなくなるし、説明がつきやすい。また、攻撃的な投稿を思いとどまらせることもできる。早く日本語版ができれば」と山口准教授。

 「誹謗(ひぼう)中傷への危機感は、SNSなどのプラットフォーム企業の側でも強まっている。いろんな機能をどんどん追加することで、利用者の満足度を高めるのも重要だと思っているのではないかと思う」と話した。藤えりか