第45回塾に通わず京大に合格…クイズ研前会長が極めたマイルール

加藤あず佐
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 京大クイズ研究会「Mutius」前会長の木下智貴さん(21)は、高校1年からクイズ研究部に所属し、クイズ大会に数十回出場してきた。「博識だから、受験勉強もできるでしょ?」。そう思われることもあるが、クイズと受験では学ぶ内容が全然違うという。

 「クイズの面白さは、最近知ったことから、小学校で聞いたことまで、生きてきた21年のどこかに答えのヒントがあるところ」。とはいっても、数学の難解な問題は出ないし、地理で問われるのも観光地の雑学など。芸能ニュースだって出題される。受験勉強の知識と直接重なることは少なく、「脳の違う部分を使っている気がする」。ただ、勉強のやり方は共通する部分があるという。

 まず、「芋づる式に覚える」こと。例えば、クイズで発明家を覚える時は、研究内容、幼少期のエピソードなどを連想ゲームのように暗記する。早押しクイズで答えるのは単語だけだが、頭にはストーリーがインプットされているという。受験勉強の数学でも、公式を丸覚えはせず、導き方から覚えた。英語では紙の辞書を使った。語源も調べて単語のイメージをつかみ、隣の単語にも目を通した。

 体が覚えるまで、何度も繰り返すことも同じだという。クイズでも受験勉強でも、間違った問題には星印をつける。一瞬で答えが分かるまで復習し、「星が八つもついた数学の問題もあった」。

 いま理学部の3年生で、有機化学を学んでいる。そもそも、受験のきっかけは、小学生の頃に京大の山中伸弥教授がノーベル賞を受賞したこと。「いつかこの大学で研究したい」と憧れた。

 愛知県出身で、県立旭丘高校に通った。生徒の大半が進学塾に行っていたが、「自分のペースで勉強したい」と塾には行かなかった。放課後に教室に残って勉強し、先生をつかまえて質問した。

「自信を目に見える形でもって行こう」

 クイズ大会と受験では、緊張感もまるで違った。受験で心がけたのは「平常心を保つ」こと。そのために、受験当日の行動には特にこだわった。

 「自信を目に見える形で持って行こう」と、京大の2次試験の会場には、2年分の勉強で使った数百枚の数学や物理などの計算用紙を持参。捨てずに自室に積み上げ、15センチほどになっていたという。「リュックに詰め込み、二宮金次郎のように歩いて行った。『これだけ頑張ったぞ』と、重みを感じながら」

 試験直前には、決まって同じ音楽を聴いた。ボーカロイド(音声合成ソフト)の「ハウトゥー世界征服」で、「スイッチが入る感覚がある」という。模試のときから聴き、「自分なりのルーチンをつくって、いつもと同じ状態をつくれるようにしていた」。今もこの曲を聴くと、受験の思い出がよみがえる。「『戦友』のような物と一緒に受験会場に向かうと、心が落ち着くかもしれません」(加藤あず佐)

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