「飼いならされるな」 IOCを震え上がらせたジャーナリストの教訓

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編集委員 稲垣康介
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記者コラム 「多事奏論

 年明けは尊敬する先輩ジャーナリストの訃報(ふほう)がつづいた。

 その一人がスポーツ界の巨悪に牙をむいた英国人、アンドリュー・ジェニングスさん。8日死去、享年78歳だった。

 1980年代以降、五輪やサッカーのワールドカップ(W杯)が商業主義と結びついて「カネのなる木」になると、汚いカネが飛び交うようになった。国際オリンピック委員会(IOC)、国際サッカー連盟(FIFA)幹部のたかりぶりをジェニングスさんは調査報道で暴きまくった。

 名前を知ったのは、IOCの金権体質にメスを入れた共著「黒い輪―権力・金・クスリ オリンピックの内幕」が出版された92年だった。ただし、入社1年目だった当時はIOCという組織を取材対象と考える感度が鈍く、本すら購入しなかった。

 改訂版の「オリンピックの汚れた貴族」を買い、熟読を迫られたのは7年後だ。98年暮れ、古参のIOC委員の内部告発で米ソルトレークシティーの五輪招致スキャンダルが発覚した。長野にも飛び火し、私も取材に追われることになった。集票のための豪華接待の手口は、ジェニングスさんがすでに本で事細かに書いていた。

 スイス・ローザンヌなどでの…

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