未来の息子へ書きためた350通 裕之君、元気ですか――
裕之君、元気ですか――。
会いたくて。でも、会えなくて。コロナ禍で、施設で暮らす障がいがある息子と会えない日が1年近く続いた。母と息子をつないだのは、B5のコピー用紙につづった手紙。再会できるようになった今も、母は、未来の息子へ手紙を書き続けている。(才本淳子)
「ねむれていますか」「さんぱつして もらいましょ」「おたんじょう日おめでとう」。
大阪市の小山茂子さん(76)は、言葉を選びながら、B5のコピー用紙に手紙を書く。家事の合間に少しずつ。ラメ入りペンや、蛍光ペンを使って描いた、カラフルでにぎやかなイラストも添えて。「ちょっと心があったかくなりますように」
手紙の相手は、6年前から障がい者施設で暮らす長男の裕之さん(50)。小山さんが難病を患い入院や通院を繰り返す中、重度の知的障がいがあり、車イスで生活する裕之さんの手助けが難しくなったため入所した。
コロナ下の感染予防で、施設は2020年4月から面会ができなくなった。電話やオンライン通話も、裕之さんが母に会えない現実をつきつけられて不安定になるために、使えなかった。「身体は大きくて、力は強くても、心は純粋で子どものまま」
今週の分、来年の分…… ひと月に6通ずつ
平仮名は読めるが、内容をどこまで理解できているかはわからない。それでも、イラスト付きの手紙をいつでも見返すことはできる。会えなくなって半年が経つころ、「いつも裕之を思っていることが伝わってほしい」とつづり始めた。施設に郵送し、スタッフから渡して、一緒に読んでもらった。
「喜んでおられます」と聞い…
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