82歳、実績残すのは「これから」 児童文化賞受賞の田島征三さん

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聞き手・松本紗知
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 「ちからたろう」や「とべバッタ」など、力強い作品の数々で知られる絵本作家・田島征三さん(82)が、今年度(2021年度)のENEOS児童文化賞を受賞しました。児童文化の発展に貢献した人に贈られる賞ですが、本人は「自分に実績があるとは思わない」と言います。その真意とは。過去に同じ賞を受賞した、「恩人」への思いも併せて語ってくれました。

 僕はなんというか、素直じゃない人間で。これまで絵本の賞をもらっても、授賞式に出なかったり、もらった盾を自宅前のぬかるみの飛び石代わりに使ったり。へそまがりなことをして、賞に推薦してくれた方に失礼なことばかりしてきたんです。でも今回は、ちゃんとありがたい気持ちになっている自分がいて、年のせいか、我ながらびっくりしています。

 大学生のときに、僕は手刷りで「しばてん」という絵本を作りました。全部で11冊しか刷らなかったんですが、そのうちの1冊が(イラストレーターの)和田誠さんに渡り、和田さんから(児童文学作家の)今江祥智さんに渡り、今江さんがそれを激賞してくれた。

 そして今江さんが、福音館書店の「こどものとも」の編集長だった松居直さんに紹介してくれて、福音館書店から絵本を出すことになりました。それが、僕のデビュー作の「ふるやのもり」です。

 長新太さんや、赤羽末吉さん、瀬川康男さん(いずれも絵本作家)は、本が出ると同時に絶賛してくれました。ところが、これが全然売れなくて。売れないどころか、世間からは「こんな芸術的な、子どもに向かないものを作るなんて」「芸術家のエゴだ」と罵倒され、「子ども忘れの絵本」とも言われました。

今江さんが差し伸べた、救いの手

 そこから全然仕事がなくなっちゃって。

 栄養失調で病気にもなり、生…

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