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コロナ下で「1%」のがん発覚 東ちづるさんの幸運と決意

聞き手・田中ゑれ奈
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 俳優の東ちづるさん(61)は、一昨年秋、コロナ下で早期の胃がんが見つかり、手術を受けました。「医師も驚くほどの冷静さで対応できた」と語る背景には、ボランティア経験で培った覚悟があったそうです。初めてのがん経験について話してくれました。

医師は「99%良性」、でも…

 59歳だった2020年春ごろから、胃に痛みを感じていました。けれど、コロナ禍で医療崩壊が懸念されていたので、病院へは行きたくなかった。健康には自信があったし、ステイホームによる生活の乱れやストレスのせいにして、頭の中で、受診しない言い訳を並べていました。

 11月、ジムに行くつもりで出かけてすぐに立っていられないほど具合が悪くなり、何とか家に戻ると夫が「うわ、顔がまっ白!」。慌てて病院へ行くと、胃カメラをのむことになり、そのまま緊急手術を受けました。重度の貧血状態だったそうで、診断名は出血性胃潰瘍(かいよう)でした。

 1週間後に退院する時、生体検査に出した胃の組織についても「99%良性です」と言われていました。ところが2日後に電話があり、なるべく早く病院へ来るようにと。「1%だったんだ」とピンときて、最初に思ったのは「見つけてくれてありがとう」ということでした。

 約30年続けている骨髄バンクの啓発活動を通して2人に1人はがんになると覚悟していたし、病名すらわからない難病と闘う方々の姿も見てきた。私のは治療法もある早期の胃がんなので、動揺はしませんでした。

 当初は胃の半分以上を切除する手術を提案されましたが、経験者の話なども参考に約2カ月かけて治療法を検討しました。担当医には「こんなにちゃんと話をした患者は初めて」と驚かれましたが、私の体と人生ですからね。最終的にはおなかに穴を開ける腹腔(ふくくう)鏡手術にしないで、胃カメラ室で内視鏡を使って患部を取る「内視鏡的粘膜下層剝離(はくり)術」を選びました。

 手術は、東京五輪パラリンピックの文化プログラムで、総合構成・演出・総指揮を務める映像作品の撮影を控えたタイミングでした。術後の入院中も、リモートで打ち合わせを進めました。当時、がんのことは公表していなかったのですが、病室をバーチャル背景で隠して元気いっぱい、オンライン講演だってこなせました。たまたま、病院にWiFi環境があったのが幸運でしたね。

 もし胃が痛くなってすぐ病院へ行っていたら、胃潰瘍は治っても早期のがんは見つからなかったかもしれない。何が正解かはわからないけど、大事なのはやっぱり検診だと思いました。

 私はこれから毎年「誕生日検診」を受けると決めています。クリスマスでもお盆でも、きっかけは何でもいい。「いつか行こう」では、まず行きませんからね。私が言えたことではありませんが、みなさんもぜひ、検診と早期受診を。(聞き手・田中ゑれ奈)

ネクストリボン2022」でオンライントーク

 東さんは、世界対がんデーの2月4日に朝日新聞社と日本対がん協会が共催するイベント「ネクストリボン2022」に登壇します。オンラインで、コロナ下でのがん経験などについて語ります。参加無料。詳細・申し込みは公式サイト(https://t.asahi.com/n22b4別ウインドウで開きます)から。問い合わせは事務局(03・5565・4685)へ。