経済安保推進法の「方向性」提示、設備導入の事前審査に勧告も

安倍龍太郎、小野太郎
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 政府は14日、17日開会の通常国会に提出予定の「経済安全保障推進法案」の検討状況をまとめ、公明党の会合で示した。電力などの「基幹インフラ」に安全保障上の懸念のある外国製品が使われていないか事前審査する制度で、政府が事業者に勧告・命令できる仕組みを検討している。安保関連の技術を守る「特許非公開」制度では、出願人への「損失補償」導入を目指している。

 法案の柱は「サプライチェーン(供給網)」「基幹インフラ」「技術基盤」「特許非公開」の4本。昨年11月に設置した有識者会議(座長=青木節子・慶応大大学院教授)での議論を踏まえ、14日の公明党会合で「考えられる方向性」として検討状況を示した。

事前審査めぐり勧告・命令で「実効性を担保」

 「基幹インフラ」について、情報通信やエネルギーなどのインフラ事業者が重要な設備を新たに導入する際、政府が事前審査する制度を設ける方針だ。「方向性」では、事業者が設備導入にあたり、政府へ計画を事前に届け出ることを想定。「基幹設備が妨害行為に使用されるおそれが大きいと認めるときは、必要な措置を取るべきことを勧告」できる案が出ている。従わない場合は「命令」によって「実効性を確保すべきではないか」とする。

 「特許非公開」では、対象を原子力技術や武器だけに用いられる技術のうち、「我が国の安全保障上、極めて機微な発明」に限定することで企業への影響に配慮。非公開の審査対象となる発明は、まず日本に出願する義務を定めるほか、制約を課すにあたり「損失補償の枠組み」を設ける必要性を示した。

政府に調査権限、事業者に応答義務も

 このほか、半導体などの「サプライチェーン」をめぐり、「政府の調査権限と事業者の応答義務を法的に担保する措置」に触れた。

 自民党が2020年にまとめた経済安保戦略をめぐる提言では、基幹インフラにあたる産業について、食料や医療、物流などの幅広い業界を想定していたが、今回の「方向性」には盛り込まれていない。「インフラ機能の安定提供が脅かされた場合、国民の生存に支障を来す事業」などにしぼる方針だ。

 岸田政権は中国を念頭に、経済安保を喫緊の課題と位置づける。経済安保推進法案の提出に向けて与党との協議を進めており、2月下旬にも衆院に提出したい考えだ。

 ただ、企業活動にも影響を与えかねず、政府の介入が過剰に広がれば、世論の反発を招きかねない。夏に参院選を控えていることもあり、法案の詳細を慎重に詰めている。(安倍龍太郎、小野太郎)