第3回消防士になって良かった 「人を助けられない絶望」から再び歩き出す

有料会員記事阪神・淡路大震災

岩本修弥、島脇健史
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 母に連れて行かれた神戸市長田区の下町は、一面の焼け野原だった。

 阪神・淡路大震災があった時、島本一志さん(35)は8歳だった。不安そうな顔を母が察したのだろう。

 「消防士さんがみんなを助けてくれたんやね」

 兵庫県立舞子高校環境防災科には毎年、消防士をめざす生徒が入ってくる。ただ、実際にその職に就く卒業生はそう多くない。

 島本さんは高校で災害ボランティアを経験するなかで、「知れば知るほど、漠然とした怖さを感じるようになった」。大学卒業後は、別の道を選んだ。

震災後に創設され、今春で20年になる兵庫県立舞子高校環境防災科(かんぼう)で学んだ若い世代は、震災について何を学び、何を思うのか。その姿を描きます。

 同級生の山口貴之さん(35)は消防の道に進んだ。

 きっかけは中学3年の時、母が病気で倒れ、救急救命士に助けられたことだ。

 不安でうつむいていると、救急救命士の男性から肩をたたかれ、励まされた。病院では医師から「救急隊の判断が良かった。もう少しで死んでいたよ」と告げられた。この日、初めて夢ができた。

 山口さんは大学を経て2009年、同県宝塚市消防本部で消防士になり、希望した救急隊に配属された。

 だが、3年で挫折を味わう。

「もうできそうにない」涙ながらに打ち明けた

 休暇で旅行に行った帰り、カ…

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