データマイニングは宝探し 乏しい公開情報との格闘から見えたもの

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牛尾梓
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メディア空間考 牛尾梓

 「データマイニング」という言葉を聞いたことがあるだろうか。

 米国人工知能学会の定義によると、「データから、今まで知られていなかったが役に立つ可能性があり、自明でない情報を抽出すること」。「マイニング(mining)」とは「採鉱」の意味で、要するに、膨大なデータから価値のある情報を掘り起こすことだ。

 近年、「データジャーナリズム」という取材手法が注目されている。政府や企業などが公開する大量の情報をマイニングし、新しい事実や埋もれていた社会課題を掘り起こす調査報道の手法のことで、私が日々取り組むのは、こうした「宝探し」だ。

 新型コロナウイルスが日本に上陸して、ちょうど2年が経つ。この間絶えず言われてきたのは、日本の政府や行政の政策形成過程における論理性や科学的なエビデンスの乏しさだ。

 政府は「飲食店の感染リスクを減少させることが対策の肝」として、飲食店に度重なる営業時間の短縮や酒類提供の禁止を要請してきた。 酒類の提供時間は、「午後7時まで」としたかと思えば、若干緩和されて「午後8時まで」に。東京都が2020年4月以降、出した要請は約10回に及び、そのたびに飲食店の「私権」は制限され、翻弄(ほんろう)された。

「7時と8時に何の意味が?」

 休業要請などに従わない、いわゆる「闇営業」をしていた飲食店を昨年取材した時、店主に言われた言葉が印象に残っている。

 「7時と8時の1時間に何の意味があるの」

 こうした政策にどの程度の効…

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