「空飛ぶ車」、高校生の希望乗せてふわり

小沢邦男
【動画】高校生らが挑戦する「空飛ぶ車」=小沢邦男撮影
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 岡山県浅口市のおかやま山陽高校自動車科の生徒が、ドローンを活用した「空飛ぶ車」づくりに挑んでいる。設計を経て昨年8月に着手し、今月には無人で浮上させる初実験に成功した。人を乗せてのフライトに一歩近づき、生徒らはさらに意欲を燃やしている。

 同校によると、高校生による「空飛ぶ車」づくりは全国的にも珍しいという。

 「KIBOU(希望)」と名付けられた機体は全長約3メートル、高さ約1・3メートル、重さ68キロの1人乗り。アルミ合金などを素材に、軽くて剛性に優れたフレームを組み、電池で動くプロペラ12基で駆動する。中央には自動車レース用の座席を備え、重さ65キロまでの人やモノを載せられる設計だ。製作費は約140万円。

 自動車科の生徒は国家資格の3級自動車整備士の取得をめざし、車の整備技術や自動車工学を勉強する。地球温暖化についてもガソリンエンジンなどを使い続けていては温室効果ガス削減が困難なことを学んだ。

 空飛ぶ車づくりは「コロナ禍のなか、車は100年に一度の大変革期。未来に希望を持てる取り組みを」という教員らの思いを背景に始まった。1~3年の20人が昨年8月に着手し、12月から本格的な組み立てに入った。

 農業用ドローンを参考に教員が全体的な基本設計図を描いたうえで、生徒らが各パーツを設計した。脚部はホームセンターのアルミ脚立を利用。フレームにはガス管を使い、授業で培った溶接技術がいきた。購入した部品は機体に使えるよう、分解と組み直しを繰り返した。課題にぶつかるたびに、アイデアを出し合い作業を進めてきた。

 今月11日の実験は、森秀樹科長と荒木康助さん(3年)が操縦。慎重に操作を始めると、プロペラが巨大な音をとどろかせ、突風を吹かせ始めた。生徒らが木の板を盾にして見守るなか、ゆっくりと高さ1・2メートルまで浮上。最長で1分を超す時間を飛んだ。

 荒木さんは「思った以上に繊細な操作が必要だったが、うまく動かせた。さらに安定して飛ばすために整備を重ね、操縦技術も磨きたい」。森科長は「将来普及して、生徒たちが整備する時代が来るまで挑戦を続けたい」と喜んだ。

 生徒らは15日に岡山工業高(岡山市)である「高校生テクノフォーラム」で取り組みを発表する。(小沢邦男)