コートではなく、法廷で続くジョコビッチの戦い 全豪出場への道険し

有料会員記事

稲垣康介
[PR]

 新型コロナウイルスのワクチン接種をしていないため、オーストラリアの入国でもめるテニスの男子世界ランキング1位、ノバク・ジョコビッチ(34)=セルビア=の戦いは、本来のコートではなく、法廷で続くことになった。豪州のアレックス・ホーク移民相は14日、「健康と秩序」「公共の利益にかなう」ことを理由にジョコビッチの査証(ビザ)を改めて取り消した。ジョコビッチ側は強制送還を免れるため、再度、裁判に訴えた。17日に開幕が迫る全豪オープンへの道のりは険しさを増す。

 なぜ、入国を巡るゴタゴタが二転三転し、いまだに決着をみないのか。

 世界的にもコロナで厳しい感染対策を敷く豪州では、外国人の入国について2度のワクチン接種、もしくは医学的な理由で接種できないことを証明する必要がある。ジョコビッチはかねて接種の義務化反対を唱えており、接種を回避して全豪に出る方法を探った。

 混乱を招いた理由の一つは、主催する豪州テニス協会がジョコビッチの接種免除での出場を認めたことにある。同協会とビクトリア州政府による二つの医科学委員会が厳正な審査を経て承認したと発表していた。

 そのため、ジョコビッチ一行が5日深夜にメルボルンに到着したことは自然な流れだった。しかし、国境警備隊は「入国に必要な証拠を示せなかった」としてビザを取り消した。ビクトリア州と連邦政府では見解が違ったことがうかがえる。ジョコビッチ側は不服申し立ての手続きを取り、裁判所は10日、取り消し手続きの不備を理由に決定を無効とした。これに対し、連邦政府で入国管理を担うホーク移民相が再び待ったをかけた。

 ジョコビッチにとって不利な材料がある。女子テニスで全豪出場のため、ワクチン接種を免除され入国したレナタ・ボラコバ(チェコ)が前哨戦に出場しながら6日に拘束され、国外退去を命じられた。昨年12月にコロナ陽性になったことなどが接種免除には該当しない、と連邦政府に判断された。2人の扱いに違いがあれば、ダブルスタンダードとの批判が沸き起こる。

 さらにジョコビッチの感染対策への意識の欠如をうかがわせる証拠が相次ぐ。

 5日の入国時に提出した書類に虚偽記載があった疑惑が浮上した。ジョコビッチは豪州入りまでの2週間に旅行したかの質問に「いいえ」と回答しながら、スペインに立ち寄ったことがSNSなどで明るみに出た。ジョコビッチは12日、SNSで申告は代理人による記入ミスがあったと認め、「人為的なもので、もちろん意図的ではない」と釈明した。虚偽記載と認定された場合、最長1年の禁錮刑となる可能性があるという。

 また、昨年12月16日に受けたPCR検査でコロナ陽性となり、翌日に結果を知りながら18日に仏スポーツ紙の取材を受けていたことも発覚。本人は「判断の過ちで日程を改めるべきだった」と謝罪した。

 さかのぼれば2年前の夏、母国などで主催した慈善イベントが集団感染の震源地となり、自身と妻、さらにトップ級選手やコーチらが感染した。選手は握手やハグを交わし、感染リスクが高い「3密」の空間で選手らがダンスパーティーで盛り上がる動画もSNSで流出。「ウイルスが弱体化し、ツアーを主催する条件は満たされたと信じていたが、残念ながらまだ存在していた。個々の感染を非常に申し訳なく思う」と謝罪したが、当時の男子プロテニス協会の選手会会長としての自覚に欠けると批判を浴びた。

 そうした過去があるからなの…

この記事は有料会員記事です。残り641文字有料会員になると続きをお読みいただけます。