オミクロン株は「恐れすぎず侮らず」で 新型コロナ第6波への構えは

酒井健司
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 福岡でも新型コロナ感染確認者数が急増してきました。福岡市内の病院や保育園でクラスターが発生しました。第6波と言っていいと思います。覚悟はしていましたが、増えるときはあっという間に増えます。私が勤務している病院では当面の間、入院患者さんへの面会は禁止となりました。また、いったん閉めていた新型コロナ病棟が再開され、新型コロナの患者さんの受け入れをはじめました。

 統計上の数字ではまだ重症者数の増加は見られませんが油断はできません。第6波の要因の一つであるオミクロン株は、重症化する割合は小さいことがわかりつつあるとは言えゼロではありません。最悪を想定するなら、感染力の強いオミクロン株が広がり、感染者数の激増に伴い重症者数も増え、医療従事者にも感染が広がって働ける人が減り、病床が足りなくなって新型コロナ以外の患者さんまで助けられなくなることが危惧されます。

 一方、明るい面もあります。オミクロン株に対してもワクチンの一定の重症化予防効果は保たれています。リスクの高い高齢者を中心に日本のワクチン接種率はけっこう高いです。3回目のワクチン接種もはじまりました。また、感染しても重症化する確率を減らす内服薬が使えるようになりました。楽観的に予想していいなら、感染者数が増えるのは避けられないにせよ、重症化数や死亡数はさほどは増えず、そのうちワクチン接種や既感染による免疫を獲得した人が増えることで第6波は落ち着いていきます。そうなればいいのになあ。

 正解は最悪と楽観の間のどこかにあるはずですが不確実性が大きく予想は困難です。どこまで感染対策を行うのかを決断する政治家はたいへんでしょう。第一波での緊急事態宣言のような強い対策を行えば感染者数は減りますが経済に悪影響が出ます。かといって楽観的な予想に基づいて政策決定を行うのはリスクがあります。そこにはジレンマがあります。感染対策を厳しくしても緩くしても必ず誰かから不満が出ますし、犠牲になる人も出ます。

 ただ、私のような一臨床医のやることはあまり変わりません。基本的な感染対策を続け、必要に応じて検査、治療を行います。職業を離れて一市民としても、やることは変わりません。これまで通り3密を避け、頻回に手洗いをし、感染の機会がある場所ではマスクを着用し、大人数での飲食はしません。ですが、むやみに恐れることもありません。感染力も病原性も強いウイルスが出現したわけではないのです。(酒井健司)

酒井健司
酒井健司(さかい・けんじ)内科医
1971年、福岡県生まれ。1996年九州大学医学部卒。九州大学第一内科入局。福岡市内の一般病院に内科医として勤務。趣味は読書と釣り。医療は奥が深いです。教科書や医学雑誌には、ちょっとした患者さんの疑問や不満などは書いていません。どうか教えてください。みなさんと一緒に考えるのが、このコラムの狙いです。