遠隔操作ロボットにレーザー光、人の技も 災害に備えインフラを守る

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西岡臣
【動画】災害に備え インフラ守る技=西岡臣撮影
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 橋やトンネルなど、インフラの老朽化が全国的な課題だ。昨年10月には和歌山市紀の川で水管橋が崩落。同月、千葉県市原市の養老川では地震の影響で送水管から水が噴出した。災害も見据え、インフラの維持・管理に関心が高まっている。阪神・淡路大震災の発生から、まもなく27年。企業や自治体の取り組みを追った。

 阪神・淡路大震災の被害を教訓に耐震補強を進める阪神高速道路。1964年の開業から50年以上が経過し、総延長約258キロメートルのうち約4割に当たる約111キロメートルが開通から40年を超える。中でも同社が管理する311カ所の橋は老朽化が顕著で、建設後40年を経過する割合は現在37%だが10年後には63%になる。南海トラフ地震など大規模な揺れを想定し、補強を進めるが、今後は人口減などから作業員の不足が懸念されている。同高速の担当者は「現状、点検に関しては人手によるところが多く、構造物に関する知識を持った担い手の確保が課題だ」と話す。

まるで忍者? 足場なしで橋を点検

 阪神高速道路の橋桁で点検作業を行うのは特殊高所技術(京都市)の作業員。足場はなく、ロープでぶら下がり、鋼床板の溶接部にさびやひび割れがないかなどを調べていく。

 同社は全身を包む安全帯を着用し、常に2カ所で身体を支えるなどの原則を徹底。従来のロープ技術に比べて安全性が高いという。高所作業車を使えない現場でも点検が可能で、橋やダム、風力発電所など様々な現場で活用されてきた。橋梁(きょうりょう)点検車を使っても手の届かない場所を点検できたり、通行規制なしで作業を進められたりする。足場を組む必要がないため工期短縮・コスト削減にもなるという。

 同高速道路では山間部の斜面の橋などでドローンを活用した点検も行うが、河川や海の上などでは特殊高所技術の作業員が橋を近接目視する。橋の裏に凹凸が多いためドローンでは近づきづらく、人の目が必要になるという。同社の担当者は「全ての場所を人が見ようとすれば手が回らない。大まかにドローンで確認してから職人が見るなど、ロボット技術と人による点検をうまく組み合わせればより効率的になる」と話す。

遠隔操作ロボで狭い空間を点検

 コンピューターシステム会社サンリツオートメイション(東京)が販売する「監視点検用 遠隔操作クローラロボット」。災害用ロボットを研究する愛知工大の奥川雅之教授(50)らが開発した調査ロボットをもとに、防水性や防じん性を高めて製品化した。

 全長約80センチで重さ約2…

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