第2回ソ連の失敗は「人間への無関心」 佐藤優さんが考える現代への教訓

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聞き手 編集委員・塩倉裕
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 世界初の社会主義国家と呼ばれたソビエト連邦。その国が崩壊して30年がたった。いま世界では、資本主義が全面化し、格差が深刻化しているように見える。ソ連が生まれ、消えたことの世界史的意味は何か。外務省職員としてソ連に勤務したことのある作家の佐藤優さんに聞いた。

 1960年生まれ。作家・元外務省主任分析官。ソ連崩壊前後7年を日本大使館で勤務。鈴木宗男氏を巡る事件で失職。著書「自壊する帝国」など。

 ――ソ連が崩壊したのは1991年12月とされます。外務省職員として、崩壊への流れに立ち会いましたね。

 「ソ連が崩壊する直前の1991年8月20日。私は、モスクワにあるマルクス像の前に立っていました。社会主義国にとって最も神聖であるはずの経済学者の像は、わいせつな落書きで汚されていた。『ソ連は終わったのだ』と実感した瞬間でした」

 ――いまやソ連という国があったことを教科書でしか知らない世代も現れています。ソ連が存在したことの世界史的意味は何だったのでしょう。

 「ソビエト連邦が誕生したことと消滅したこと。その意味を考えることは現在にとって重要です。資本主義を変容させた事件だからです」

 「ソ連という国家が存在したことの世界史的意味は、資本主義に軌道修正をもたらしたことにあります。社会主義革命が実現し、階級的な抑圧のない社会が実現されたという美しい『ソ連イメージ』が、世界中に流布されました。ソ連の内実がベールに包まれていたせいでもあったのですが、結果として先進資本主義諸国の内部には『革命の勃発を防がなければならない』という警戒感が高まりました」

 「利潤を追求しているだけの一辺倒では、貧困が広がって民衆の不満が高まってしまうから、国家が介入して再分配の機能を高めよう。資本主義国家において、そんな平等主義的な軌道修正として確立されたのが福祉国家です。もしソ連がなければ資本主義の体制は、より早く不安定化していたでしょう」

ソ連消滅が進めた資本主義の純化

 ――ではソ連の消滅は、何をもたらしたのでしょう。

 「ソ連消滅という事件も、資…

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