統計不正、ギリシャでは国家破綻の危機に直結 信頼性確保へ海外では

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ブリュッセル=青田秀樹、パリ=疋田多揚、ロンドン=金成隆一、ワシントン=合田禄
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 政府統計をめぐる不正や質の低下は海外でも事例がある。その反省を生かし、データの信頼性を確保する取り組みは続いている。

EUは統計規則改定、各国に「独立性確保」義務づけ

 統計不正が国家破綻(はたん)までささやかれる事態に発展したのが「ギリシャ危機」だ。政権交代があった2009年、ギリシャ政府が財政赤字の統計を過少に公表していたことが発覚。国の借金である国債を買っていた投資家の信頼を失って、金融市場で国債価格が暴落。ギリシャは国債を新たに発行できなくなり、資金繰りに行き詰まった。信用不安はスペインイタリアなどに広がり、「ユーロ危機」に発展した。

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 統計の透明性には、その国の民主主義度が反映される――。新型コロナウイルスの感染データに関する各国の公表数値に関する分析があります。国交省の統計書き換え問題について、世界の事情を交えて専門家に聞きました。

 ギリシャでは04年にも、財政赤字の過少申告が明らかになっていた。欧州連合(EU)は法的手段も視野に入れて是正を求め、ギリシャ政府は対応を約束。EUは09年、欧州中央銀行経済協力開発機構(OECD)などからオブザーバーを招く「欧州統計システム委員会」を設け、統計の品質維持態勢を強化したが、水面下で続いていた統計不正が欧州全体を危機に陥れる事態を招いた。

 公的部門の肥大化が指摘されたギリシャでは、統計の数字を良くするために「政治の介入を受けやすかった」(欧州委員会)ことが背景にあるという。これに対してEUは15年、統計に関する規則を改定し、加盟国に「(政治や利害関係者からの圧力に対して)統計担当者のプロとしての独立性を確保しなければならない」と義務づける項目を追加した。

 EU統計局はかねて「民主主義社会は、信頼できる客観的な統計が機能した上に成り立つ。政策決定や企業の判断に必要なだけでなく、政策決定者らを市民が評価するためにも統計が不可欠だ」と指摘し、ほぼ5年に1回のペースで全加盟国の統計のありようを点検している。「独立性」「正確性」「客観性」といった16の観点から「自己診断」を求め、統計の専門家が評価して改善点を指摘、アクションプランをつくって実行度合いを毎年チェックする仕組みだ。各国の担当職員らへの研修も、毎週のように催している。

英識者「統計に手を抜く政府は、国家運営にやる気なし」

 EUメンバーのフランスで公式統計を担うのは国立統計経済研究所(INSEE)だ。1946年に設立され、第2次世界大戦後の復興期に必要な、人口や社会に関する統計を担い、政策づくりに役立ててきた。

 51年の法律で、統計の作成…

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