コシヒカリの産地である新潟県の魚沼地方は、酒どころとしても名高い。越後山脈からの豊富な雪解け水に支えられている。
清酒「八海山」で知られる「八海醸造」(新潟県南魚沼市)の看板商品の一つは、雪を使った貯蔵庫「雪室」で熟成させた純米大吟醸「雪室貯蔵三年」。真っ白なボトルで販売している。3年の歳月をかけることで、口当たりがまろやかに育つ、とうたう。
雪室とは、自然の冷熱を利用する冷蔵技術のひとつで、奈良時代の「日本書紀」には氷を使った「氷室」が登場する。
同社では貯蔵庫に最大千トンの雪をためることで、4度程度の低温を1年を通じて保つ。同社の従来の酒は、半年ほどかけて熟成するが、低温でじっくり3年かけて熟成することで、酒の丸みが増すという。
震災の電力不足がきっかけ
その理由について、貯蔵庫を…