現代社会、代ゼミ問題分析 大学入学共通テスト
現代社会
※前年との比較は、2021年度大学入学共通テスト(1/16・17実施)との比較です。
全体的な形式に大きな変更はなく、各分野の基礎的・基本的知識に加え、思考力・判断力も幅広く問われている。
―概評―
問題の形式は前年から大きな変更はなかったが、問題文・資料が微増したほか、単純な4択正誤問題が減り、「組合せとして最も適当なもの」を選ばせる設問がさらに増えた。しっかりと教科書の知識を習得した上で、共通テストを意識して対策した受験生とそうでない受験生とで差が生まれただろう。
【大問数・設問数・解答数】
・5(前年と同じ)
・30(前年と同じ)
・30(前年と同じ)
【問題量】
・大問数・設問数・解答数はそれぞれ前年から変更がなかった。
・第5問は前年同様「課題探求学習」だったが、設問数・解答数がそれぞれ3から5に増加した。
【出題分野・出題内容】
・大問内の小設問は、「政治・経済的事項」「倫理的事項」が分野横断的に構成されている。
・主権者教育など、「現代社会」において重要視されている内容を意識した出題が見受けられる。
【出題形式】
・共通テストに移行して「組合せとして最も適当なもの」を選ばせる設問が大幅に増加したが、前年よりもさらに増加した。
・センター試験最終年から並び替え問題、正誤の組合せ問題が毎年出題されるようになっていたが、それも踏襲されている。
―難易度(全体)―
前年と比べて、易化(※前年は得点調整が行われたため、問題そのものの難易度で比較)。問題文や資料の分量がわずかに増加したものの、解答数の増減や傾向の変化はなく、難問・奇問も見られなかった。前年の出題傾向を踏まえて、限られた時間内で、複数あるいは長文資料を正確に読解する演習を重ねた受験生は、取り組みやすかったのではないだろうか。
―設問別分析―
第1問
・市役所での就業体験 難易度:標準
高校生の市役所での就業体験の活動記録カードを題材に、政治分野を中心に出題された。問2は公務員に関連する日本の法制度についての組合せ問題。選択肢アの一般職の国家公務員の幹部人事についてはやや細かいか。問3はドント式、サン・ラグ式を用いた単純な計算問題。それぞれの仕組みについて知らなくても、メモを読めば解答を出せるが、ドント式を知っていればメモを読み込む時間は省略できる。問6は南北問題や、ODAをはじめとする開発協力に関する4択問題。人間の基本的ニーズ(BHN)を知っている受験生はそこまで多くないと思われる。問7は特定非営利活動促進法とODAの形態についての3と4の選択肢の正誤判断が難しい。
第2問
・高校3年生に向けた校長先生の講話 難易度:やや易
高校3年生に向けた校長先生の講話を題材に、倫理分野を中心に出題された。問1は前年の出題がなかった課題追究のための方法についての4択問題。それぞれ基礎的な選択肢だが、前年の傾向を踏まえ対策してこなかった受験生は少し面食らっただろう。問2は心理学者マーシャのアイデンティティの状態(アイデンティティ・ステイタス)の分類とそれに対応する例の組合せ問題。分類について知識のある受験生はほぼいなかったと思うが、問題文を読んで理解できれば解答は容易である。問5は今年4月の民法改正による成年年齢の引き下げを意識した日本の法制度についての組合せ問題。
第3問
・高校生が参加した大学の講義 難易度:標準
高校生が参加した大学の講義を題材に、経済分野について出題された。問1はバブル経済前後に焦点を絞った並び替え問題でやや細かい。問2は不良債権に関する問題。提示された事例が不良債権に該当するか否か、該当する場合にはその債権の分類を判断する。問3は信用創造に関する計算問題。内容は容易だが計算が複数回必要で解答に時間を要したかもしれない。問5、6は女性の労働に関する問題が出題され、近年話題になっている「女性の活躍」を念頭に置いたと思われる。問5は男女雇用機会均等法の改正内容の正確な理解が必要でやや細かい。
第4問
・「共同体を問い直す」をテーマとした現代社会の授業 難易度:やや易
現代社会の授業で配布されたプリントや、生徒が書いたミニレポートを題材に、現代社会の諸問題や倫理分野が出題された。問1は多様性に関する4択問題。選択肢には「女性管理職の登用」、「障害者が参加できるスポーツ」や「同性パートナーシップ制度」など時事的内容が登場した。問2~4は倫理分野の基礎的な知識を問う問題。問5は著作権侵害に関する正誤組合せ問題。著作権に対する正確な理解が必要になる。問6は個人情報の取り扱いについて、関連する法令の正確な理解が問われた。
第5問
・持続可能な社会の形成についての課題探究 難易度:標準
高校生の課題探究学習の過程の資料集めや議論、発表を題材に、資料の読み取り問題を中心に出題された。第5問全体が読解中心であり、前年から2題増加したため解答に時間を要する。第5問の解答を最後にした受験生は時間配分に戸惑ったかもしれない。問1は単純な資料読み取りだが、会話文が長い上に、空欄に当てはまる選択肢を資料から読み取るのに時間がかかる。問2は社会資本に関する問題。生活関連社会資本の具体例を読み取る容易な問題。問2~5はある定義や観点が冒頭に示され、それらに該当する具体例を分類する問題。判断すべき選択肢の文章が2~3行とやや長く、読み取りに時間を要したと思われる。(代々木ゼミナール提供)
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