瀬戸際の感染症ビジネス 5
感染症専門の塩野義製薬(大阪市)が持つ大阪府豊中市の研究施設。その一角に二つの「ライブラリー」がある。世界中から集めた約10万個のウイルスや菌を保管したものと、創薬の種になる約100万種類の化合物を保管したものだ。感染症の分野では、どちらも民間企業では国内最大とみられる。
同社で30年間、感染症に携わる山野佳則研究員(59)は、この蓄積があるかないかで「治療薬開発のスピード感が変わる」と話す。
新型コロナウイルスの飲み薬の開発は、感染症に関連する化合物の中から可能性のありそうなものを選び、有効性を確かめる作業の繰り返しだ。ウイルスの扱いや化合物の選定など、経験がなければ難しい作業だという。
菌やウイルスのライブラリー…